第1章―会社設立編 第12話 卒業式の日           【1999年3月】


 会社立ち上げにいそしんでいるが、俺はまだ高校生だった。親も突っ込まないがこちらの世界に来てから大学入試を言い訳に高校には行ってなかった。行くことを避けていたかもしれない。大学入試もとっくに終わって毎日パソコン画面を見ながら、株取引をしていた。親も特に怒ってこなかったので甘えてずっと高校を休み続けていた。


会社を立ち上げたりしていたので、遊んでいるわけではなく、大学も合格しており親もこの4月までの入学までの期間は諦めていたのかもしれない。しかし卒業式だけはしっかりと出席するつもりだ。

ちなみに大学に真面目に通うかは、考えを放棄している。


卒業式当日、朝6時に起きて6時半のバスが時刻表の始発の時間だった。

俺は、中学から高校3年の2学期までは、ほぼ休みなく6時半の始発のバスに乗っていた。これは自慢の話と言いたいがそれに付き合って毎朝早く弁当を作ってくれた母こそが偉大である。いまさらながらそんな母に感謝である。


卒業式なので今日は、弁当を持つこともなく母さんに向けて、

「じゃ、行ってきます。」

と、伝えながら家を出た。

学校へ向かう景色は、自分の記憶では何十年ぶりなので新鮮である。思い出しながらバス停に並び、昔懐かしのバスに乗り込んだ。記憶に限って言えば、何十年経ってもバスに乗り込む人達の姿は記憶に残っていた。こんな人と毎日バスに乗っていたなと思いながら相手を見ていた。相手は何でこっちを見ているのと不審な顔されたので、慌てて顔を背ける事にした。


バスも6年間乗っていたら、いろんなことがあった。雪の中2時間立ち往生した日や、バスが通常進む道を間違えて違う道を進み、乗っていた全員でそっちじゃないと突っ込んでUターンしたり、始発なのにバスが遅刻したりと当たり前の日常をバスが少しだけ違うとよく覚えているもんだ。バスの運転手さんも当たり前と思っているため、少しでも違う日常だと記憶に残ってしまう。・・・話が逸れてしまった。


バスで1時間もかけて高校についた。朝早くから出ているだけあって、俺が一番に学校の教室に着く。朝練をやる部活の友達がこの時間に着替えをしに来るが卒業式になる事には、部活をみんな引退済のため、みんなゆっくりのスタートだ。


少し経つと懐かしい仲間たちが教室を訪れ始めた。

「おはよう。」

「おはよう。」


高校時代の懐かしい仲間達の顔があった。名前と顔を一致させるのに意外と時間がかからなかった。記憶の中では、20年以上たっても高校時代の友達の顔と名前は憶えているもんだ。高校卒業した後の春休みどうするかや大学で何やるかの話が大半だった。うちのクラスは大学にエスカレーターで行く者も多く、春休みの話が大半だった。卒業旅行の話をするませた高校生はうちの学校にはいない。いたかもしれないが陰キャな俺は知らない。



卒業式に出席したのは意味があった。なぜならばこの先関わるかもしれない、3人の友人に会うことだ。中学校から仲が良かったが、前世では卒業式の日で連絡が取れなくなって途切れてしまった。


1人目は、佐々木君だ。佐々木君は、生徒会長をしており、親と祖父が県会議員で早慶大に入学後、国会議員の秘書の後、自分もこの地元で国会議員になった人だ。生徒会長になっていたこともあり、人を纏めるのは高校時代から得意だったものである。人を纏める能力に血筋なども関係あるのだろうか。

そして彼を有名にさせたのが将来の奥さんが元芸能人として政治界隈では有名になった人だ。元芸能人としても未来では地下アイドルなども芸能人と括られるのでどこまでが芸能人のくくりになるかは疑問であるが、テレビによく出ている芸能人であり、私も何度もテレビで見たと思う。そして今世でも同じように芸能人を奥さんにするかは気になるところだ。


2人目は、岸本君だ。岸本君は、ゴシップ記事が好きで常に最新の芸能ネタを教えてくれる。父方の曽祖父に大手新聞社創刊者がおり、代々新聞家業に携わっており、本人もマスコミ好きだから将来は新聞社に勤める予定だが、政治ネタを勉強するように親には常々怒られていると聞いている。地元の有名国立大に入学予定だ。卒業後も地元に残る為、おそらく一番会う機会が多いであろう。


3人目は安本君だ。安本君は、西央大法学部に入学予定だ。両親が共に弁護士をしており、本人もその予定だが、若干反抗期のためか、親の後を継ぐつもりはなくフリーの弁護士がいいと常に言っている。3人とは中学から帰宅のバスが同じでいつも一緒に帰っていた。



3人とも卒業式後、年賀状を送り合うことを約束した。今時点で携帯を持ってないが 大学生になれば、年賀状に携帯番号を記載し、連絡を取り合おうと約束をした。このつながりが後々生きていくと信じている。



前の人生では卒業式に泣いたが、さすがに今回は2回目の高校の卒業のせいか、泣くことはなかった。



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1999.3  投資会社立ち上げ

1999.3  高校卒業 


このページは、難産でした。すみません。ここで一旦第1章を終了します。第2章との物語の流れは特に変わってません。文字数で適当に区切ってしまいました。


感想・質問集(ここまでの)


・SEC?あたりに捕まえるのでは?


→多額の資金で売買した場合、市場価格が大きく変動するため

 監査が入りやすいため、ばれない程度の資金に分散をしています。

 それでも監査対象になるかもしれませんが、スルーでお願いします。


・この時代って信用取引ってあまりないのでは?


→信用取引の開始時期・ルールが各社で異なり不明瞭なので

 上記同様にスルーでお願いします。


・馬券を買わないとかこの物語は、犯罪はないということですか。


→馬券はどこかのタイミングで再度物語に登場する予定ですが、

 犯罪の有無に関しては、あまり深く考えないでください。



感想ありがとうございます。

質問・指摘に関しては、回答できるもののみ記載します。


ご指摘ありがとうございます。

今後の検討材料とさせて頂きます。


幕間 登場人物・会社規模【1999年春】



-人物-

梅田和久:この物語の主人公。前回の人生ではブラック企業から抜け出せず、過労により夢のような世界で助言を頂き、2回目の人生に挑戦中


おじいちゃん:県庁の元職員で出向にて、研修センターにてセンター長として働いていたが退職後、家で畑仕事するなり時間をつぶしていた。前世ではセンター長退職後、仕事燃え尽き症候群により、晩年アルツハイマーを発生し亡くなった。今世では、孫の仕事を喜んで手伝っている。


梅田俊和:主人公のお父さん。大手電気通信メーカーにて勤務


-会社-

AtoB投資会社立ち上げ1999年3月15日設立

・投資部門-国内投資部門(運用資産4千万円)

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