ブラック職場からの脱出。人生巻き戻し?一発逆転社会を上り詰めれることができるか 立身出世編
ちゃんまつ
プロローグ
プロローグ① 第1話 異界
俺は、地方の大学を卒業し、東京にあこがれて上京して就職をした。いたって普通のサラリーマンだ。就職時にあまりこだわりもなく東京に行きたい一心で就職活動をしてしまったため、通常考える就職先と大きく異なった会社に就職した事が後々判明した。
就職後判明したのが、月平均の残業時間は80時間。祝日出勤は当たり前。土日出勤もほぼ当たり前。20連勤明けの休みの時なんて、廃な気持ちになりすぎて久しぶりの休みも会社に行こうとした。
残業手当は、みなしの残業手当として一律5万円のみの超絶ブラックの起業に就職してしまった。
固定給と残業手当合わせて、この業界の平均給与とうたっているぱっと見、普通と思わせる会社である。残業手当を平均給与に入れるってどんだけやばいのか。労基に訴える人はいないのか。いないから会社として成り立っているのか。あまりのやばさに気づいた人はすぐに辞めていなくなってしまい、その作業が残った社員に割り当てられるため、少しでも他の人の事を気にする人は、残った人の負担を考えて辞められずドツボに嵌ってしまう状態であり、そのど真ん中で俺は働いている。
子供の育児や老人介護で在宅希望の社員には、通常業務時間を時間給に変更し、在宅時は業務禁止という時代を逆行する。時間給は、最低労働賃金に毛が生えた程度。社員で時間給ってあるんだと。該当する社員から愚痴を聞かされた時は、よくそんなこと考えるなと違った意味で関心してしまった。
そんな社員も育児や介護に追われて転職活動もできないと鬱になりかけだった。
そんな俺は、このブラックな企業で20年間、奴隷のように言われたまま業務をこなし、毎日終電まで、朝は始発で会社に来ている状況が続いていた。
家に帰っても寝るだけの会社と自宅を往復する毎日となり、前日の夕食は何を食べたか記憶があまりない日々が続いた。
周りの友達と飲み会でもしていれば、自分の酷すぎる境遇に気づいたが、この仕事漬けの生活が当たり前と思い、目の前の仕事をこなすだけの毎日だった。そんな日が唐突に変わることとなった。
(お前は、なぜこの世界にいる?)
景色が見えない窓一つない蛍光灯やダウンライトがないのに明るい真っ白の広い世界で、いきなり一角獣のような角が生えた鹿に似た動物が声を発したように見えた。
(あれ、夢かな。見たことない動物が声を出している?いや脳内に直接話しかけているのか?)
俺はさっきまで仕事に疲れ切って帰ってきて、お風呂も入らずベッドで横になっていたら、そのまま寝てしまったような気がするが、現状の認識がないまま話を聞いていた。
(そうだ。おまえの脳内に話しかけているのだが、もう一度聞くがお前はなぜここにいる?)
(ここは夢。あなたは誰?動物さんが日本語話しているのですか?)
私はキョトンとして、理解できないまま答えた。夢のはずだがおれはいつもの外出していくときに着るような服装をしていた。周りの風景が全く分からない。周りに意識を向けても壁や景色が眼に入ってこない。
(会話が進まないな。まぁいい。私はユニコーン。人間の世界では夢の中にしか現れない生き物だ。
実体は、人間界でいう天の世界にいる。そしてお前がいるこの場所は天の世界だ。)
若干呆れ気味に鹿に似た動物は語りかけてきた。前足を動かして俺に対して急かしている感じにも見える。
(お前がここにいる理由は、生き仏になって天の世界に迷い込んだか。幽体離脱して実体がないまま天の世界に迷い込んだのかのどちらかだ。)
生き仏とは、高徳の僧など、生きたまま、仏としてあがめられ、何も食さずに成仏した人の事である。最近ではあまり聞かないが、安土桃山時代だった戦国の頃まではよく行われていたと何かの文献で読んだことあった。今の世界は欲まみれなのか。そんな高徳な僧は、この情報社会においてもひっそりといるかもしれない為、実際の情報はわからない。
(生き仏?幽体離脱?)
俺は、夢と思っているためか、頭が動いてなくまだ理解しないまま私は気が動転して考えがまとまらず回答ができていない。
(ここまで来ても理解してないのも逆に珍しいな。生き仏も最近見ないし、幽体離脱して迷い込んだのかな。)
(いえ、私は寝ていたはずです。)
私は、鹿に似た動物がイライラしていることも理解できないまま、現在の状況に納得できず思ったことをそのまま返事をしてみた。質問に対して的確に答えてないのはわかっていたが、質問に対しての適切な回答を持ち合わせてもいなかった。
(幽体離脱にも種類があって、意識して幽体離脱する者もいれば、稀に夢を見ているときに体と意識を離して幽体離脱する者がいる。お前は、寝た後に自分の体や精神から自分が切り離されたような感覚になったのではないか。)
ユニコーンは、少し怒っていながらも幽体離脱について丁寧に説明してくれた。
(はい、そう言われれば寝た後に上から、自分を俯瞰していたような感覚があったような気がしました。)
相手に言われればそんな気がしてきた。おぼろげながら自分の寝ようとしている姿を思い出しつつあった。
(やっと話が進むな。幽体離脱で天の世界に迷い込んだのか。ここは実体がない者も見える世界だから、そのような者が時たま迷い込んでくる。
問題はただ幽体離脱しただけなら問題ないが、幽体離脱して天の世界に迷い込むっていうことは、近いうちに事故か事件か病気で亡くなるってことだぞ。残り短い人生楽しく過ごせよ。まぁ夢から覚めて、お前が覚えていればだがな。)
(っえ、どういう事。俺って近いうちに死ぬってことですか。)
状況がつかめてない中で、追い打ちをかけるような衝撃な言葉を聞いてしまった。
(この天の世界の時の流れと、お前の世界の時の流れがどこまで違うかは知らんが、近いうちと思うぞ。)
その話を聞いて俺は絶望した。仕事に追われて何も楽しいことをしていない。何もやりたいことをやってない。でもおれはこのブラック企業から逃れる方法がわからない。
(お前の幽体が薄くなってきたので、もう幽体離脱が終わるころだろう。もし覚えていたら死ぬときに必要な物は手に持っておくように。一つだけ一緒に持っていくことができるからな。)
(一緒に持っていくことができるって、死んだあとどこかに行けるのでしょうか。)
死後の世界?? 今話題のファンタジーな世界の話?
急に思考ができるようになったのと同じようなタイミングで興味の引く話を聞く事ができた。真剣に聞く表情に変わり次の言葉を待った。
(基本は生きとし生けるものは地球上での輪廻転生だが、稀に違う世界行くこともある。ガチャガチャみたいに一方的に行く世界は決められるから、どの世界に行くかは私にはわからないぞ。)
(もし記憶を持って次の世界に行きたいなら、新宿駅の地下鉄の駅に夜中の2時に行ってみるといい。そこに運が良ければ夜行電車がくる。その電車に乗って、少し時間がたった時に途中で見えてくる“きさらぎ駅”で降りれば、記憶を持って違う世界にたどり着くことができる。しかし行った先の世界がどんな世界かまではわしは知らん。以上、残り少ない時を楽しめ。)
鹿っぽく見えてたその姿も薄くなりつつ思えたが、実際は、自分の視界がぼんやりしてきたのだった。
(わからないことだらけだぁぁぁぁ。ってこんな重大な事は覚えられないし、夢だからいいか。)
薄くなっていく景色に気づきつつ諦めた感じで捨て台詞を吐いた。
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