没考

凹々

第1話 凹々 その１

　俺はフリーのライターだ。

　主に都市伝説や怖い話などのくだらない話などまとめて雑誌に寄稿して飯を食っている。

　今日も編集長の依頼で、UFOの記事を自宅で書いている。

　いや、これさ、ほとんど大昔の記事や写真の流用なのよね。いや、パクリじゃねぇよ？

編集長直々の指示で進めてるわけ。オマージュ、インスパイアって奴よ。ちょっと違うか？

　やっていてつくづく思うんが、実に下らない。

　読者の世代が代わっているから、昔の記事のブラッシュアップで子供はわからないし、喜ぶだと。今の時代、そんなんで誤魔化せるのかねぇ。

　とは言っても、それで飯食わせて貰ってる以上、文句も言えないのだがね。

　あ、別にオカルトが嫌いな訳じゃないよ。俺ぁもっと、聞いた事もないような奇妙な話、事件を取材して都市伝説を発信してみたいのさ。

　正直、取材なんかしても、なかなか拾えない。いいところ怪談みたいな話をする人はいるんだけど、掘り下げても何も出てこないわけよ。「これは実話なんです」とか言って終わりなんだよねー。

　それはそれでひとつのジャンルなんだろうけど、幅の狭さ、深みがなければエンターテイメントには遠いんだよな。

　んな事考えながら、チンタラ仕事やってると、メールが着ている事に気付いた。

　送り主は、川畑S子。以前、取材した人物の紹介で俺に聞いてほしい事があるそうだ。

　…今回は有意義な取材になる事を願いたい。