第13話 新たな仲間
アルトとテナはリオの言葉に警戒していた。
その様子をみたシモンが少し困ったような顔をしていた。
「水色君、よかったら手を見せて貰えませんか?旅路を占いましょう。」
アルトは僕を見て首を横にする。
アルトはテナを見た。
テナはただ僕を見つめている。そして首を横に振った。
こうゆうときの状況判断はテナの役割らしい。
「すみませんが失礼しますね。」
僕の答えを聞かないまま、シモンは僕の手を掴んだ。
その瞬間。体の中から何か沸き上がるものを感じた。
それに、この世界に来た時のように右腕の聖跡がが熱い。
自分とシモンとの波長がシンクロするような、不思議な感覚。
ずっと昔から知っているような、懐かしい感じ。
まさか。
「あなたはもしかして・・・・!」
「あ、わかったかな?僕があなた方を家に招いた訳が。」
シモンは爽やかな笑顔で言った。
アルトとテナは不思議そうに僕を見た。
すると、シモンはシャツの袖を捲った。
「僕は十二使徒です。」
アルトとテナは目を見開いた。
そして、ステファンもテーブルにくるとシャツを捲った。
「俺もだ。あんたと同じ、追われてる身だ。」
ステファンはアルトにそう言うと、顔が真っ青になった。
テナの「まさか」は「本当だった」
シモンが苦笑いをする。
「顔を見たときにまさかとは思ったんですよ。
アルト君、楽譜を城に盗みに行ったでしょう。
おまけに脱走ですからね。郵便局に手配書が届きましたよ。町に張り出すようにと。あなたに1000万アークの賞金がかかってますよ。
1000万アークなんてただの盗人に着く金額じゃないから絶対なんか訳ありだと思ったんですよ。
大体、城には兵隊も多いし楽譜の周りなんて親衛隊がついてるはずですからね。そこから脱走できるのなんか魔法が使えるに決まってます。」
アルトは口をパクパクとさせ、テナは失笑していた。
シモンはその似顔付きの手配書を見せてくれた。
「まぁ、僕も鬼じゃないですからね。実はステファンも賞金首でしてね。まあ僕の計らいでこの町には手配書は貼ってないんですよね。」
シモンがそう言ったあと、僕はすかさずに質問する。
「どうして、ステファンは賞金首なの?」
ステファンは煙草を口から離した。
その質問に、ステファン自身が答えた。
「俺は昔、城で仕える国家第一級錬金術師だったんだよ。」
「錬金術師??」
「あぁ。何かの物質から違う物質をつくる術さ。悪く言えば黒魔術っぽいがな。
錬金術師は、聖職者よりも稀少でな。隣国の欲しい王様は俺ら錬金術師に化学兵器を造るように命令を下した。
で、俺はムカついてリオを連れて逃げた。」
ステファンはめんどくさそうに再び煙草に火をつける。
「ステファンはね、僕の伯父さんなんです。リオはステファンのツレ。」
「ツレ?」
「まあそうだな。俺の預かりだな。」
確かにその通りだ。
「リオは、ステファンが錬成した
通りでリオから独特な雰囲気があったわけだ。
人間ではなかったからだ。
見た目はどこも人間と変わりがないが。
アルトもテナは安心したように話していた。
「ほら、テナ。十二使徒探しは余裕じゃねぇか。」
「ですよね。まさかこんなに早く二人も見つかるなんて。」
疲れた体に、リオが出してくれた紅茶は全身に染み渡る。
そう。この旅の主旨は十二使徒を全員集める事であった。
しかし、この世界に来たとき以来、コラールからの呼び声はない。
「え、あなた方、十二使徒を集めているんですか。」
シモンが食いついた。
それに、僕は頷いた。
そして僕がこの世界の人間でないことを話し、この世界に来たいきさつを話した。
シモンは慌てて席を立ち、カーテンを閉めた。
「ステファン、念の為に結界装置を。」
「あいよ。」
ステファンは煙草の火を消した。
ナイフで指先を切り、床に自分の血で魔方陣を書いていく。
「いいですか。僕はあなた方がたが近いうちに現れることを知っていました。」
ステファンは魔方陣を書き終えた。
そして不思議な粉を魔方陣にかけて、発動の合図をした。
「発動条件は魔方陣と自分の血。指を鳴らすのを合図に結界装置を発動する。」
パチン。ステファンは親指と中指を合わせて指を鳴らした。
部屋の中を一瞬光が包んだ。
結界を張られたのだ。
シモンは真剣な顔で僕らを見ると言った。
「あなた方は知らなくてはいけませんね。このコラールの秘密を。」
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