第12話 郵便屋



「やっとついたね」


「宿探すか。」


ついた町は小さな広場と小さな店があり、ちょうど郵便屋が広場で手紙を渡していた。

腰にはラッパのようなものを引っかけていた。


(あれの音だったのかな?)


町の人達は郵便屋と話をしながら手紙を受け取っていて、郵便屋もにこやかに仕事をこなしていてとても優しそうだった。


広場で配る分は終わったのか、郵便君は荷物を纏めていた。


「ねえ、お宿は郵便屋に聞くのはどう?」


「はぁ?なんで」


「郵便届ける人なんだから町に詳しいよ、きっと。」


「わぁ、水色君ナイスアイデアですね。そうしましょう。」


僕たちは早速郵便屋に声をかけた。


「すみません」


「はい。なんでしょうか」


郵便屋の青年は爽やかにに僕たちにそう答えた。

そして、アルトとテナを見て一瞬驚いた顔をした。

しかし直ぐににこりと笑った。


「もしかして、宿探してます?」


僕は声も出さずに頷くと、郵便屋は迷った様子もなくこう言った。


「おすすめの宿屋さんあるんで、良かったら郵便局によっていってください。」


僕は迷わずに「じゃあ、お言葉に甘えて!」と言ってしまったが、アルトとテナは少し不安そうな顔で僕を見ていた。


こんなにトントン拍子に事が進んで、少し警戒しているようだった。

郵便屋はアルトの顔を見て一緒驚いていたし、この人は、何かを知っているのかもしれない。

アルトとテナはふたりでこそこそと喋っている。


「なんなんだ、こいつ」


「兄さん、まさかですけど脱走してから賞金首になったとかじゃないでしょうね。」


「そりゃああり得るだろうけどまだそんな日も経ってねえのにこんなにすぐお触れがまわるもんか?」


「早馬を使えば充分に有り得る話です。」


二人のこそこそとした会話をよそに、郵便屋は郵便局の二階に僕らを案内した。


「よければ少しくつろいでください。僕の家で少しせまいんですけど」


家では二人の男性が二人で料理をしていた。


「僕はシモン・レミギウス・クラベルといいます。」


郵便屋は名乗った。

そして料理をしていた二人は手を止めて、僕らの方へとやってきた。


一人は煙草を咥えて、少し髭が不精している。

少し人相が良くない。

なんだか怖そうだ。


「スティーブン・アシュベリーだ。ステファンって呼んでくれな。」


それから背が高く褐色の肌。

金髪の美男がいた。


「リオです。よろしくね」


リオと名乗った男性は凄く感じのよい男性だった。

僕とアルトとテナはテーブルに招かれると、リオがニコリと笑って紅茶を出してくれた。


「僕は水色です。それからアルトとテナ。」


僕が紹介すると、2人は軽く会釈した。

リオからは独特な不思議な雰囲気があった。

優しいけれど、どこか不思議な感じ。まるで、人形のような儚さを感じた。

そんなリオがまずは口を開いた。


「どこから来たの?この町って森を隔てた西側にあるから大変じゃなかった?」


「はい、まぁ」


「オレら、怪しくないからね。むしろ仲間かも。」


リオはにこりと笑って言ったがアルトはリオを睨み上げていた。








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