前世ばらし
@ohurosuto
第1話 前世はそんざいした!
前世を信じて飛び降りた女優、もし、彼女の魂が別世界に飛び立つのならどこへ着地するのだろう、そんな夢を見て羽毛布団から飛び起きた。今日は寒空の朝である。
「カイ~?」
「カイ~?」
「いつ起きるの~~~?」
「ごはん冷めるわよ~~?」
俺の名前は石川貝。
今から通うともだちにはイシカーカイ?と、言われる。
名前いがい、なんの変哲もない、ただの少年、だった。
LANDLANDS(ランドランズ)というマンガの最新巻を昨日買ったので、親にバレないようこそっと学生カバンにいれた。
原作者は色機色彦だ。
学校までの電車で読んでいた。
そこまで都会の電車ではないので、ぎゅうぎゅうでマンガどころか文庫本も読めないようなスペースはない。すごい空いてて快適だ。
そこ俺はある発見をした。
それはあとがきに書かれていた。
原作者の色機色彦が、前世はイタリア人で川沿いの街で青春を送っていたというのである。
俺は最初、到底信じられなくて、マンガを描くと発想力が豊かになるのだなと結論づけていた。
そして、学校についたあと、
早朝だった。
学校の屋上の端っこに、
背の高い女の子が立っていた。
制服の感じから、学年は1コ下に見える。
俺はすごい絶望感と諦め、そんな感情が覆っていた。
女の子は、ただ地面を見ていた。
俺は、いまから屋上へ駆け上がるには間に合わないと思った。
(死ぬな、とか、いますぐそこから降りろ、なんて言葉は効果がないと一瞬でわかった。どうする?どうする?!)
頭をいっしゅんのうちに巡らせて
声をあげた!!
「今からお前を俺が抱く!!!俺と付き合え!!!
いくらでもデートしてやる!!いくらでもおごってやる!!
欲求不満ならいくらでもセックスしてやる!!!」
彼女は俺の方に目線をむけてとても動揺した様子だった。
彼女の体の重心がとっさに後ろにさがった。
どうやら、たまたま彼氏に振られたのが正解だったようだ。
俺は玄関から靴のまま屋上へ駆け上がった。
革靴の黒い足跡が校内にどんどんつけられていく。
2話へ つづく
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