自業自得

 ===== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。

 白鳥巡査・・・警邏課巡査。実は・・・。


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 どこの誰かは知らないが、誰もが皆知っている。

 あいつは、あいつは、暴れん坊。それでも正義の血が騒ぐ。

 今日も小町が正義を守る。暴れん坊小町は今日も行く。


「うるさいっ!!」


 すみません。


 チエは、父に言われて、『自転車違反、一斉取り締まり』に参加していた。

「GW明けまで待っていられん。京都は年中観光地や。」の本部長の一言で、開始した。

 正午。中京区。京都市役所付近。

 路地を、スマホ片手に自転車が走っている。

 そのすぐ側を走る何かがあった。

 大学生の田島幸太は、何かにぶつかって、自転車ごと転倒した。

 倒れた、すぐそばに、パネルがあった。『交通ルールを守りましょう』という文字と共に、女性警察官がニッコリと笑っていた。モデルは、チエ自身だった。

 田島は、パネルとチエを見比べた。

 驚く田島にチエは言った。「交通ルール違反で、逮捕する。」

 冷たい金属の2連の輪は、田島の両手首に嵌められた。

「運転中のスマホ、禁止。知ってるよな。」

「ちょっと、見て・・・。」田島は最後まで言えなかった。田島は、股間が冷たくなっていくのを感じた。

「正当防衛や。こうむしっこ妨害や。」

 チエは、持っていた自分のスマホの動画アプリを停止して、本部に送信した。

 警邏の警察官が、自転車に乗ってやって来た。

「白鳥巡査。あと、頼むわ。『三条』の方で何かあったみたいや。」

「了解しました。」警察官は、チエに最敬礼をした。

 チエは、走り出した。

「お巡りさん、僕、う・・・。」「訴えたら、負けるで。一生棒に振りたいんか?」

 ICレコーダーを差し出した、警察官の言葉に、田島は呆然とした。

 午後1時。京阪三条駅。京津線の車両前。

 外国人数人がペンキ(ペイント)を適当にかけている。

 チエは、目にも止まらぬ早さで、彼らを『足払い』した。

 そして、側にあったペンキを彼ら自身にかけた。

「誰か、『ぶぶ漬け』、持って来たってぇ!!」と、チエは叫んだ。

 売店のおばちゃんが、適当に作った丼を持ってきて、コケた。

「ああ。勿体ない!!」

 辺りにいた、人達は爆笑した。警官隊がやって来た。

 チエは、英語で何か言った。

「警視。ご苦労様です。」と、大きな声で茂原は言って敬礼した。

 午後4時。東山署。取り調べ室。

 出てきた茂原は、チエに尋ねた。「お嬢。あいつらに何言うたん?」

「うん?ええ思い出話出来たなあ、って言うただけ。スラングで。」

「ふうん。こいつらには、叩かヘンかったんやな?」

「ペンキで、制服汚れるやん!」「さよか。」

 茂原は、また取り調べ室に戻った。

 副署長がやって来た。「署長がお呼びやで。八つ橋と玉露用意しといたで。」

「ありがとう。」

 チエは、スキップして、署長室に急いだ。

 彼女が向かうところに敵なし。今のところは・・・。

 ―完―


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