第31話 コウはビクトリアと2人!
翌朝、ビクトリアは驚いた。コウが1番早く起きて食堂に来ていたからだ。
「コウ、珍しく早いな。どういう風の吹き回しだ?」
「昨日、夜遊びしてへんからなぁ。徹夜で嫁達に手紙を書いてたんや。1人ずつに近況を沢山書いたから疲れたわ。書き始めたら、どんどん書けたからみんな長文になってしもた。気付いたら朝やったから、そのままここへ降りて来たんですわ」
「ところでコウ、今日は何か予定があるのか?」
「朝一番に、荷物を嫁達に送るねん。でも、手続きは終わったから、今日の予定は何も無いけど」
「そうか。昨日はどうだったんだ? 少しはクロエと仲良くなれたみたいだな」
「え? そうなんかなぁ? よくわからへんわ。仲良くなれたという実感は無いけど。仲が良くなったか? って聞かれると僕は何も言われへんわ」
「敏感なのか鈍感なのかわからないな、お前は。困った奴だ。そんなに鈍くて。よく大勢の妻達と結婚出来たものだな。お前は女心を理解していない!」
「僕の嫁達のことはええやんか。僕の嫁達はわかりやすいねん。スグに機嫌を良くしたり、機嫌を悪くする。せやけど、クロエちゃんのことは僕にはわからねん。ほんまにクロエちゃんと仲良くなれたんなら嬉しいけど」
「そうか、心配するな、クロエと間違いなく少し親しくなれているぞ。あ、コウ、それで話があるのだが」
「なんでっか? 僕に出来ることならなんでもやりまっせ。僕に出来ないことなら他の人にお願いしてもらいますけど」
「宝石というか……原石か? クロエ経由でもらったぞ、ありがとう」
「どういたしまして。あれ、高く売れるから便利やで」
コウはコーヒーを口に含んだ。クロエとジョージが来た。また、1日が始まる。
「コウ、今日は1日私に付き合え」
「いいですけど……ビクトリアさん、それも命令でっか?」
「そうだ」
「別に命令やなくても、1日くらい付き合いますけどね」
「では、朝食の後、出かけよう」
「はい、荷物を発送する手続きはすみましたので構いませんよ。ほんで、どこに行くんですか?」
「ここは男性がリードする場面だぞ」
「そんなぁ、僕、王都のこと知りませんもん。どこに何があるのかわかりませんわ。でも、どこへ行っても良いなら、田舎には無いようなところへ行きたいです」
「歌劇でも鑑賞するか?」
「歌劇? おお! 流石、隊長はお洒落ですねぇ、確かに田舎には無いですわ」
「では、行こう。観たい舞台があるんだ」
「ほな、ついていきますわ」
豪華で洒落た劇場だった。
「どうだった?」
「いやぁ、おもしろかったです。めちゃくちゃ迫力がありましたわ」
「そうか、感動できたか?」
「田舎の嫁さん達にも見せてあげたいですわ」
「そうか、コウは嫁に優しいんだな」
「当たり前ですやん、嫁なんやから。嫁のことは1番大事ですから。僕が何人もの嫁を持っているのに、みんな仲良く暮らしています。嫁達には、本当に感謝しているんです。ああ、会いたくなってきたなぁ」
「そうか、会いたくなっているところで悪いが、そろそろ食事に行こうか」
「何料理ですか?」
「パスタの美味しい店があるんだ」
「この店、いいですね。雰囲気もいいし、味もいい」
「また、嫁さんを連れてきたくなったか?」
「はい、連れて来たくなりましたわ」
「そうか、気に入ってくれたなら良かった」
「ところで、僕等、注目を浴びてるのわかってます?」
「ああ、見られているな、だが、いつものことだ」
「なんで見られてるかわかってますか?」
「ん? わからん。いつも気にしないからな。女性の剣士というのが珍しいのだろうか? 私はいつでも注目される。昔からだ」
「注目を浴びるのは、ビクトリアさんが美人やからですよ」
「そうか? いやいや、私は美人ではないぞ」
「いえいえ、充分美人です。それで、今、“なんでこんなにイイ女に、こんな冴えない男がくっついてるんだろう?”って思われてるんですよ。それでジロジロ見られてるということです」
「そんなことはないだろう、私なんか、ジロジロ見られるほど美人じゃないぞ」
「いやいや、鈍感な僕でも、男達の気持ちには気付きますわ。自覚が無いようですけど、ビクトリアさんはかなりの美人でっせ。僕はブサイクですけどね」
「コウ。自虐はよくないぞ。自虐的なことは言うな」
「いやいや、僕が冴えない男なのは自分でわかってますわ。毎日、鏡を見てるし」
「嫁が10人もいるのにか? それでも冴えない男だと言うのか?」
「それはまた別の話ですわ、実際、ビクトリアさんも僕のことをイケメンとは思ってないでしょう?」
「う、うーん、そうきたか……確かにイケメンとは思っていない」
「ほら、そういうことですわ」
「それより、これからどうする? 私は服を買いに行くが、コウは昨日クロエと服を買いに行ったのだろう? カフェで待っているか?」
「あ、服を買いに行くならついて行きますよ、もっと嫁さんに沢山お洒落な服を送ってあげたいんで。違うブランドの服を買いに行きたいんです」
「そうか、それなら行こう」
「どこまでも、お供しますわ」
「コウ、お前、いつの間に敬語になっていたんだ?」
「そこ、今、気にするとこですか?」
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