第30話 コウは良い所を見せる!
クロエは両手にダガーを持った。そして、何の迷いも無く黒ずくめの集団の中に飛び込む。クロエの突然の行動にコウは慌てた。まさか、ここでクロエが戦闘に加わるとは! “僕達は隠密部隊、人前で目立たない方がいいぞ!”と、コウは思っていた。だが、こうなっては放っておけない。
「アホ、何してるねん? この状況で、敵のまっただ中に飛び込むか? アホか?」
コウは縮地でクロエの背後まで移動した。抜いた刀で早速1人を斬っていた。だが、手応えに違和感があった。
「なんで、あなたが後ろにいるんですか~?」
「なんでわからへんねん? クロエちゃんの背後を守ってるんやがな」
「こいつ等、おかしいんです~! 斬っても斬れないです~!」
「鎖を着込んでいるんや。突くしかない。クロエちゃんの武器ではしんどいやろ?」
「そんなことないのです」
「クロエちゃんは離れて、ボーガンで上から僕達を狙ってる奴等を片付けてくれ。そうしたら、僕は下での戦いに専念できる」
「わかったのです」
コウは突きの連撃で黒装束達の数を確実に減らしていった。クロエは、ダガーをボーガンに持ち替えて、2階から矢を放とうとする者を撃っていった。クロエの矢には毒が塗ってあるので、かすり傷でも致命傷になる。この、コウとクロエの連携は上手くいった。この場合、2階の敵の射手はクロエを狙うことになるが、クロエは中長距離では矢には当たらない。流石に、コウのように6歩の距離では避けれないのだが、これだけ避けれたら今回は充分だ。クロエは名射手。確実に2階の射手を仕留める。
黒装束の男達も、コウとクロエにより残りが約半数になった。そこで、4人の男達がクロエに突進した。クロエも右手にダガーを構えた。
クロエは1人目の首筋に刃を突き立てた。ダガーにも毒は塗ってある。2人目の男の攻撃をクロエはダガーでさばいた。3人目にダガーを跳ね上げられた。4人目で、クロエは後ろから捕まった。
「よし、人質だ」
「嫌ー!」
クロエを後ろから抱きかかえている大男の背中を、コウが刀で思いっきり突いた。
「クロエちゃん、もう少し離れないとアカンで。クロエちゃんは離れて戦った方が強いんやから」
「ごめんなさいなのですー!」
「まあ、もうそろそろ終わりやけどな」
生き残った黒装束の男達は、諦めたようで逃げ散った。勿論、コウもクロエも後は追わない。
「クロエちゃん、終わったで」
「良かったのです~!」
「おお、よくぞ儂を助けてくれた。褒美を授けるぞ」
「ああ、公爵様。褒美はほしいけど、また今度もらいにいきますわ。今日は急いでますので」
「おお、待て、待て、儂の私兵にならんか?」
「考えときますー!」
コウはクロエを抱えてその場を疾風の如く立ち去った。
「降ろしてください~!」
「はい」
「うわ」
「あ、転んだ」
「急に離さないでくださいー!」
「怪我はないか?」
「ありません。悔しいです、私ももっと活躍したかったのです~!」
「無理をしたらアカンで」
「私には無理だと言うのですか~?」
「そうやない、戦いには相性みたいなものがあるんや。僕は昔から1対多数の戦闘訓練をしてきたんや。だから乱戦は得意や。むしろ、乱戦の方が楽や。けど、どう見てもクロエちゃんは違うやろ? クロエちゃんは1対1の戦いの方が向いているみたいや。それだけの話や。戦いには向き、不向きがあるねん。クロエちゃんは接近戦では複数の敵と戦わない方がええよ」
「なんだか、私が弱いみたいな言い方です~!」
「そんなことは言ってない。後方支援を任せたら頼りになる」
「コウは乱戦が得意なのですか~?」
「うん、幼い頃からそういう育てられ方をしたからな」
「なるほど。それで、コウは怪我はしてないのですか~?」
「してへんよ。無傷や」
「あやうく私は人質にされるところでした。あなたに助けられてしまったのです~!」
「気にせんでもええよ、男は女性を守るもんやねん」
「少しだけ、ほんの少しだけわかった気がします~!」
「何がわかったんや?」
「あなたのお嫁さん達の気持ちです~!」
「今更何を言うてるんや、そんなん、僕のことが好きやからに決まってるやろ」
「その自信満々な所は大キライです~!」
「男が自信満々やないと、嫁が不安になるやろ?」
「なるほど。また納得してしまいました~! 確かに、自信の無い男は頼りないですね~! コウには時々気付かされることがあります~!」
「今日はもう帰るやろ? 食事するか?」
「また夜遊びにに行くのですか~?」
「今日は行かない、嫁さん達1人ひとりに手紙でも書くわ。アクセサリーと服を田舎の自宅に送らなアカンからなぁ。流石に、夜遊びよりも嫁への土産の方が重要や」
「……」
「どないしたんや? 帰らへんのか? 食事に行くんか?」
「食事に行きます~!」
「え! なんで?」
「自分から誘っておいて驚くのは失礼ですよ~!」
「いや、まさかクロエちゃんが僕と食事するって言うとは思わへんかったから」
「もう少しだけ、コウとお話がしたいと思っただけです~!」
「そうなん? まあ、ええけど」
「今日は話したい気分なんです~! 今日は特別なのです~!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます