第14話  コウは山賊と戦う!

 ということで、コウは1人で東の山道を歩くことにした。50人相手に勝てるかどうかわからないが、ハーレムを作るためだ、仕方がない。


 奥深く進むと、矢が飛んできた。避けた。何本もの矢が飛んできた。たまらず木の陰に隠れた。敵の姿が見えないが、矢の飛んできた方向から敵の大体の位置はわかる。


 コウはダイナマイトに火をつけ、投げた。爆発で2~3人が吹き飛んだ。更に投げる。また、2~3人が吹き飛んだ。もう一度投げる。また山賊が吹き飛んだ。矢が飛んで来たのは、その3カ所。後は、どこにいるのかわからない。


 コウは相手の出方を待った。しばらくして、まだ矢が何本か飛んで来た。樹に刺さる。相手の位置がわかった。ダイナマイトを投げた。これで10人は相手の数を減らせただろう。だが、本当に50人いるとすれば、あと40人。まだ40人もいるのか? コウは溜め息をついた。


「「「「うおー!」」」」


 山賊が剣を抜いて斜面を降りて来た。ありがたい。矢で遠くからチクチクやられるより、接近戦の乱戦の方が得意だ。コウも長剣を抜いた。コウは斬った。斬って斬って斬り倒した。休む暇は無い。


 最初、コウは山賊を斬れなかった。スグに、山賊が鎖を着込んでいることに気付いた。それからは、ただの剣術ではなく、剣に念を込めるようにした。コウの実力なら、念を込めた1撃なら大岩も粉砕できる。念力を込めて斬り倒していったのだが、念を込めた戦い方を続けるのは非常に疲れる。


 それでも、斬るしかない。斬って斬って斬りまくった。疲れてくるが、それでも受け太刀をしないだけの余裕はあった。


「皆、待て-!」


 何人斬ったかわからない。リーダーらしい男が他の者を制した。


「力量を見誤ったわい、皆、見ておれ。儂が一騎打ちで勝負をつけてやる」

「お頭、お頭にもしものことがあったら、俺達はどうすればいいんですかい?」

「儂が負けるようでは、お前等ではこのガキに勝てん。儂が負けたら、お前達は全員逃げろ」

「こっちはまだ人数の上で有利です。全員でこのガキをやっちまえば良いのでは?」

「馬鹿者、それでこれだけの死体の山をつくってしまったではないか。このままずるずると全滅するつもりか?」

「わかりました、お頭に任せます」

「そこのガキ、儂と戦え」

「ええで、どこからでも来いや」


 大斧を持った大男と、まだ小柄な13歳。山賊達は、自分達の頭の勝利を信じて疑わなかった。だが、大斧が振り降ろされた瞬間、首から鮮血を吹き出したのは頭の方だった。一同、信じられない光景を見て、動くことが出来なかった。だが、返り血を浴びたガキが向かってくるのを見て、金縛りが解けたかのように、山賊達は逃げ出して行った。


 コウは、追うようなことはしなかった。斬り倒した山賊の人数が多く、全ての首を持って行くことが出来ないので、お頭の首だけ持って保安官の元へ行った。死体の山を山道に置いてきたことを告げ、生き残りは逃げ去ったと話し、賞金を全額もらえることになり、ベッキーの待つ宿に帰った。ひどく疲れていた。疲れているのに、宿に帰るとベッキーに求められた。コウは、初めて求められることをしんどいと思った。


 ベッキーと宿で過ごしていると、宿の主人が部屋に手紙を持って来た。決闘状と書いてあった。差出人は賞金首一同と書いてあった。コウは笑ってしまった。夕刻、街の広場に来いということだった。


「コウちゃん、何それ?」

「ラブレター」

「誰からよ!?」

「賞金首一同様から」

「何それ?」

「呼び出されたわ」

「行くの?」

「勿論。探し出す手間が省けて良かったわ」

「女からのラブレターかと思ってヤキモチを焼くところだったわ」

「このくらいでヤキモチ焼いてたら、これからもたへんぞ。僕はハーレムを作るんやから。耐えられないなら、今の内に離婚しといた方がええで」

「何よ、ヤキモチくらい焼かせてよ」

「でも良かった、ベッキーを人質にとられることが、唯一の心配やったから」

「あら、一応心配してくれているのね」

「当たり前やんか、夕方に広場に行くから、先に食事しててええよ」

「夕方まで、まだ時間があるわよ」

「じゃあ、ちょっと抱き合うか?」

「うん、勿論」



 コウは、緊張感の無い一時を過ごし、それから指定された広場へと向かった。







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