現実世界の愛する人を守るため、異世界に転生して無双していたら、いつの間にかハーレムを作っちゃいました♡
崔 梨遙(再)
第1話 コウは18歳!
昼休み、学校の校舎の中で、男達が乱闘をしている。よく見ると、1対4で戦っていることがわかる。1人で戦っている男は、必殺の跳び蹴りで1人を沈めた。次いで、相手の後ろに回り込み、バックドロップでもう1人を沈めた。残った2人は戦意を喪失して、倒れている仲間を引きずって去って行った。
「これでも木刀や竹刀を使ってへんのや、ハンデをくれてやってるんやから、ありがたく思えよ。木刀や竹刀を持ったら僕は強いでー!」
と、無傷で学生服の埃を払ったのは永倉コウ、この物語の主人公だ。18歳の高校3年生。進学校に通っているが、やっていることは、不良のやることだった。喧嘩する、女子を口説きまくる、学校にはあまり来ない。来ても寝ている。なのに成績はいいので留年せずにここまでこれたのだった。
コウは、2年2組の下級生の教室に入って行った。
何組かの女子や男子が弁当を食べている。いや、そろそろ食べ終わるというところだった。
そんなグループの1つに近付くコウ。
「なあ、深雪(みゆき)ちゃん、僕と付き合ってくれや。大切にするから」
「永倉先輩、綾女先輩とも付き合ってるじゃないですか」
「うん、付き合ってるで」
「3組のまどかさんとも付き合ってますよね?」
「うん、付き合ってるで」
「1年の桃花ちゃんとも付き合ってるんですよね?」
「うん、付き合ってるで」
「私を口説いているのは、遊びでしょ?」
「いや、本気やで」
「今、付き合ってる3人のことはどう想ってるんですか?」
「愛してるよ。僕は何人でも愛することが出来るんや、綾女もまどかも桃花も、みんなちゃんと平等に付き合ってる。ちゃんと平等に愛してる。最初は嫌がってたけど、付き合い始めたら、もう文句は言わんようになった。僕と付き合ったら、僕の言うてる意味がきっとわかるわ。あ、勿論、誰でもええというわけではないで、厳選してるから。深雪ちゃんはこの学校の中で輝いてるからなぁ」
「本当に、私のこと好きなんですか?」
「好きやで」
「じゃあ、ベランダから飛び降りてください」
「ちょっと、深雪、ここ3階だよ、ヤバイよ」
「飛び降りてくれたら、私、先輩と付き合います」
「ええで。女に惚れたら、どんなアホなことでもやってみせるのが僕やからな。その代わり、飛び降りたら僕と付き合えよ、今日の放課後はデートやで」
「わかったから、早く飛び降りてよ」
コウは、ベランダに出て、手すりの上に乗った。
「ほな、跳ぶで。ちゃんと見といてくれよ」
クラスにいた全員が注目する中、コウが跳んだ。3階から。
着地の衝撃を足では吸収しきれないので、前転して衝撃を散らす。
そして、コウは立ち上がった。
「深雪ちゃんは俺のものやでー!」
「「「「おおおおお!」」」
見物していた生徒達から拍手された。
「深雪ちゃん、放課後迎えに行くからな-!」
コウは自分の教室に戻っていった。
「コウちゃん、コウちゃん」
「ん? 何? 綾女。もう授業が終わったのか?」
「当てられてるよ」
「え、そうなん?」
「問題は、黒板の3問目」
「ああ……答えは3Xです」
「……正解だが、授業中は出来るだけ寝ないように」
「はい……」
コウはまた眠った。
コウの日常の風景だった。
そんなコウを見守る綾女だった。
そして放課後。
「コウちゃん、今日は深雪ちゃんと初デート?」
「そやねん、でも、その次は綾女の番やからな、楽しく過ごそうや」
「コウちゃんは、恋人が1人ではダメなのね」
「すまんなぁ、みんな、それぞれ平等に愛してるねん」
「私は、小さい頃からコウちゃんと一緒にいるからコウちゃんを理解してるけど、あんまり派手なことをするのは辞めといた方がいいと思うよ」
「なんで? 僕は僕の好きなように生きたいんやけど」
「それで喧嘩ばっかりしてるやんか」
「本気で喧嘩したことはないで、いつも手加減してるやんか。本気出したら剣術を使うわ」
「もう、心配してるのに」
「ありがと、そういうところ好きやで、綾女。ほな、お先に」
綾女はため息をついた。
「深雪ちゃん、待っててくれたんや」
「約束ですから」
「じゃあ、行こうか、飯、食いに行こうや」
「先輩、なんで飛び降りたんですか?」
「深雪ちゃんに本気やからに決まってるやんか」
「私に本気なんですか?」
「本気でもないのに飛び降りられるわけないやろ」
「でも、私は先輩の4人目の彼女ですよ」
「4人に、本気なんや」
「先輩、なんなんですか?この店は?」
「気に入らんかったか?」
「気に入り過ぎです。めちゃくちゃ雰囲気のいいお店じゃないですか」
「ファミレスより、高級レストランの方がええやろ?」
「私達、学校の制服で浮いてませんか?」
「大丈夫、僕がよく来る店やから。店長とも親しいし」
「でも、周りはドレスとか着てますよ」
「ブサイクのドレス姿より、美人の深雪の制服姿の方がええに決まってるやろ。自信を持って、食事を楽しもうや。さあ、どんどん食べてや」
「美味しい! こんな美味しい料理初めてです」
「まだまだや、コース料理やから美味しい料理がどんどん出て来るで」
「先輩、いつもこんなに美味しいものを食べているんですか?」
「まさか、そんなわけないやろ。デートする時だけや。まだ、何件かオススメの店があるから、その内に連れて行くわ。僕、デート代に幾ら使ってもええと思ってるから。金はあるから安心してくれ」
「むむ、先輩とのデートが少し楽しくなってきました」
「ほら、次の料理や」
「美味しい!こ の店、高いでしょう? 本当に大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫やで、バイトしてるし。金はあるって言うてるやんか」
「でも、先輩って結局、体が目当てなんですよね?」
「それは違う、正確には体 も 目当てや。その人の全てがほしくなるからな。心も体も両方欲しいんや」
「そうだったんですか? なんか怪しいけど、なんか説得力もある」
「まあ、今は食事を楽しんだらええやんか」
「おお、これも美味しい!」
食事で、深雪はスグに機嫌が良くなった。
デザートとコーヒーになったとき、コウがポケットから小箱を出した。
「プレゼントや」
「開けていいですか?」
「早く開けてほしい」
「あ! 指輪だ、ちょっとシンプル。これ、結婚指輪じゃないんですか?」
「そう、結婚指輪や。僕の彼女全員が同じのを指につけてる。僕の女やっていう証拠やねん」
「そういえば、先輩の左手の薬指にも同じ指輪が」
「深雪も、左の薬指につけてや。そして、僕の女になってくれ」
「つけてください」
コウが深雪の指に指輪をはめる。深雪の手は、少しだけ震えていた。
「出ようか?」
店を出ると、コウは深雪の肩を抱いて歩いた。深雪は、もう拒まなかった。
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