第56話 『推し』を語る熱量の持って行き場はここ

もし、誰かに、「この映画、すごくおもしろかったよ。絶対、見た方がいいよ」と言われて、実際、おもしろいと思う率80%


「この本、すごくおもしろいから読んだ方がいいよ」と言われて、実際、おもしろいと思う率50%。


「このアーティストの音楽いいから聴いてみて」と言われて、実際、気に入る確率ほぼ0%。


これまでの人生、ジャニーズ系とか、KPOP系とか、ソロ女性シンガー熱唱系、とか、いろいろ熱くおすすめされてきた。


が、


ただの一人も、他人からのおすすめきっかけで、ファンになったことはない。


強いていえば、中高生の頃、姉が聞いていたYMOや、RCサクセションくらいか。


でも、それも、姉に勧められたというよりも、勝手に横で聞いていて、好きになっていったような。


結局、テレビの音楽番組や、街角で流れてた有線、今なら動画サイトで自ら好きな歌手&音楽を開拓していっている。


だけど、人は好きになった人、今でいうところの『推し』を推したくなるもんだ。


でも、その熱量で、赤の他人に語っても、だいたい伝わらないし、何だったらウゼー、って思われるリスクまである。


ただ、ここnoteは、地面に堀った穴。何を語っても良い場所。


だから心の底から、思いの丈をぶちかます。


「王様の耳はロバの耳」


もとい、


「私は、高見沢さんが、好きだあああああ」


ふぅ。


......言わずと知れた、THE ALFEEのロン毛のあの方。


いやあ、自分が五十も過ぎて、さらに上の70歳に恋焦がれるとは思わなんだ。


昔から、陽キャとか、体育系じゃなくて、クラスに一人はいる、何考えてんだかよくわからない子に惹かれるタイプだったので、ある意味、ストライクゾーンではあるんだろうけど。


前にも書いたけど、ALFEEとして、『メリーアン』引っ提げて出てきた時は、へんなおじさんアイドルバンドとしか見てなかったのは覚えてる。それに、ベストテンとかで、あまりにも、出す曲、出す曲、ランクインするから、「ま〜たアルフィーだよ」って、ぶーたれてた記憶すらある。


それが今、40年の時を越えての手のひら返し。


でも思いおこせば、「メリーアン」は、私にけっこうなインパクトを与えた曲だった。


だって、その当時の流行歌といえば、キラキラ衣装のアイドルが「あの娘が、どうした、こうした、ヘイヘイヘイ♪」とか、「あなたが好きなのに、振り向いてくれないの〜♪」みたいな半径3m以内ソングが主流。


そんな中、「夜露に濡れる森を抜け♪」だもん。


そんでもって、「白いバルコニー、あなたを見た♪」って、ヒゲ面のこわもてのおっさんが、どえらい美声で歌うんだもの。


この曲の、ヨーロッパかどこかの森の中で、年上の女性と少年の恋物語の映画を彷彿させるような世界観は、本を欠かさない田舎の文学少女(?)の心に、強い印象を焼きつけたのだった。


私は高見沢さんの作る、目の前にその場面がすぐ思い浮かぶような詩が好きだ。


今、本も出版してるけれども、編集者の人に「高見沢さんは、本、書けますよ」ってあっさり言われたっていうのも納得できる。


歌詞がすでに、物語の凝縮、みたいなところがあるもの。


ALFFEEの曲が、宇宙をテーマにしたり、励ましソング的な歌が多い中、珍しく日常を歌った『My Life Goes On』という、最近のお気に入りの曲がある。それは、坂崎さんの猫ちゃんが天に召されて、それを元にして(?)高見沢さんが作った曲だとか、何とか。


「彼氏、彼女が恋人を思って曲を書きました」なら聞く話だけど、還暦とっくに過ぎてるおっさんが、猫を亡くした別のおっさんのために曲を書く、っていう、未だかつて聞いたことないシチュエーションが、すでに、なんてエモーション。


「突然ミケが天国へ。ただ 悲しくて、悲しくて、涙ポロポロ

一緒にいてくれて幸せだったよ、ホントにありがとう♪」


ズギューン。


ペットがいる、全人類に向かって、容赦無く矢を放つ高見沢俊彦。


そんでもって、ずっと半径3mのネコとの日常の世界だったのに、結局、最後、我慢できずに「All over the world 平和を祈ろう♪」って、世界までひとっ飛びにテリトリー広げちゃうあたりとかも好きなんだなあ。


ほら、熱量すごいから、新旧2曲でこんなに書いちゃった。


そういや、娘に「ママのタイプはロン毛なんだね」とテレビの画面に大写しになってる高見沢さんを指さして言われたことがあった。


「キアヌ・リーブスもそうだし、この人もそうじゃん」


キアヌ・リーブスと、高見沢俊彦。


むしろロン毛しか共通点ないような。


でも、どっちも『我が道を行く』っていう点では、似てるのかも知れない。


〜終わり

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