第2話 貧乳魔女は巨乳を殺せと僕らに言った。
「かつて、魔王に侵略されかけたこの世界でしたが、魔女ヘラ様と女神ヘスティアの加護を受けた勇者とその仲間によって何とか撃退することができました。ですが、人類の危機はそれでおわりではなかったのです。なんと、疲弊している人類を自分のしもべにしようと女神ヘスティアは人々の洗脳をはじめたのです!!」
立派な書庫で、俺はシグレにこの世界のあらましとやらが書かれていた本を読んでもらっていた。俺の役に立てるのが嬉しいらしく、一生懸命読んでくれる彼女は水のように澄んだ声で朗読してくれている。
「そして、その女神ヘスティアに対抗すべく魔女ヘラ様は自分を信仰する乙女たちに魔法という力を与え、うち滅ぼしたと言います。これが我々の使う魔法の起源であり、今の国教である魔女教の始まりだと言われています」
「へぇ……ありがとう。だから、魔法は女性しか使えないんだね」
「はい、そうです。魔法とはヘラ様と同じように胸の小さく美しい女性にのみ与えられた力なんです。だから、男性であるセイン様やヘスティアのような胸の大きい女性は魔法を使うことができないんです」
シグレが示す方向にはヘラ様を書いたという絵画があり、美しいが胸部が絶壁の女性が微笑んでいた。なぜシグレがこんなことを説明してくれているかというと、書庫に入った俺が「俺もそのうち魔法を使えるかな」と聞いたら驚きの表情と共に説明してくれたのである。
うーん、転生はしたはいいけど、人名や人間関係などはセインから受け継いでいるけどこういった常識は受け継いでいないみたいなんだよね。聖杯戦争ですらサーヴァントに一般常識はおしえてくれるのに……
あの女神が不親切なのか……それともあえてなのだろうか?
「それで……こっちが女神ヘスティアなのか……」
ヘラとは対照的に胸の大きな女性の肖像画を見つめる。心なしか悪女っぽい顔にされているのは気のせいではないだろう。
「はい、おおきな胸には女神ヘスティアの力が宿っていると言われ迫害の対象になっています。うちはそこまではひどくありませんが、巨乳の女性は場合によっては国外追放にされたりや処刑、奴隷にされることもあるそうです」
「はぁぁぁぁぁぁ!? 巨乳だから追放? 処刑? 奴隷? 何言ってるの?」
信じられない言葉に俺は驚いて思わず大きな声をあげてしまった。巨乳を捨てるなんてとんでもない!! ヘラとかいう魔女絶対許さないからな!!
そう憤った俺だけど、シグレは何を当たり前のことを……とばかりに答える。
「その……巨乳はけがらわしいものですから当然ですよ。屋敷のメイドは美乳だったでしょう?」
「ああ、確かに……」
美乳というより微乳であり貧乳だけど……しかも、やたらと胸元を強調していたのもそういうことなのだろう。前世でエッチなお店で巨乳を強調する服をきていたようなものだ。
「基本的には貴族の館ではたらけるのはBカップ以下の方しかいません。特にイザベラさんはAAカップだそうです。貴族も使用人も皆あの人とすれ違うたびに見惚れているんですよ……うらやましいです。」
「そうかなぁ……AAって冒険者ランクキングとかなら強そうだけど……」
俺からしたらまな板みたいで残念なだけだけど、どうやら俺の知っている世界とは常識が全然違うらしい。とんだ世界に転生してしまったものだ。
だから屋敷は貧乳ばかりだったのか……勝手に貧乳好きだと思ってごめん父さん……
そして、もう一つわかったことがある。
「彼女が俺を転生させたんだ……」
女神ヘスティアの肖像画は俺を転生させた女神に顔はおろか胸元までそっくりで、俺は彼女の力で転生させられたとわかった。
彼女が俺に何を頼んだかは思いだせない。
だけど、悲痛な顔で俺に力を授けるといった彼女がシグレの語った伝承のような悪人にはとてもではないが思えなかったのだ。
「セイン様……?」
「ああ、なんでもない。色々と読んでくれてありがとう。いっつぅ……」
「セイン様、もうベッドに戻りましょう。怪我が治るまでおやすみしたほうが……」
「ああ、そうだね。ありがとう」
シグレに礼を言って俺たちは自室に戻るのだった。ああ、でもいろいろと聞いたけどシグレは深くつっこまないで教えてくれたな。
彼女の優しさに感謝しながら眠ることにした。
その日の夜、俺はのどの渇きを覚えて目を覚ました。窓をみると月が爛々と輝いているのがわかる。さすがにこんな時間にシグレを呼ぶのも悪いと、キッチンまで行くことにした。
せっかくだし、銀製の水差しにたっぷりといれて部屋に持って帰る最中におもわずぼやく。
「それにしても転生したのが貧乳が優遇される世界か……」
妾の子とはいえ貴族というのは悪くないと思う。ウェブ小説ではこれから成り上がるのはよくあるパターンだし、人生二回目なのだ。アドバンテージがあるから死ぬ気で頑張って後継者争いに勝てばみんなの見る目もかわるだろう。だけどさ……
「どうせなら巨乳とイチャイチャしたいよう!!!」
正直貧乳メイドをはべらしている父も、AAカップのイザベラを専属メイドにどや顔しているドノバンのクソ兄も全然羨ましくない。
だって、マジでぜっぺきだぜ。硬いじゃん!! 壁じゃん!! 俺があこがれるおっぱいはやわらかい双丘なのである。このまま成り上がっても将来は貧乳と結婚することになるのだろうか……
「あれ、シグレのやつまだ起きているのか? よかったら水でも……」
彼女の部屋の扉がうっすら開いており明かりが漏れているのに気づいた俺はつい前世の感覚でノックもせずにあけてしまい……そこには衝撃的な光景が広がっていたのだった。
「セイン……様……?」
たまたま着替えていたシグレは上半身裸で胸元のさらしを取り外す手を止めて驚愕の表情で俺を見つめていた。そして、俺もまた驚きの表情を浮かべる。
「これは……お……おっきなおっぱい……」
だって、彼女のさらしから解き放たれたおっぱいはまるでグラビアアイドルのようにたわわに実っていたのだから……
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