巨乳好きの俺が転生したのは貧乳優遇異世界でした〜俺だけ巨乳好きな異世界で、虐げられていた巨乳美少女達を救っていたら求愛されまくるようになった件。
高野 ケイ
第1話 転生した先は貧乳パラダイスでした。
真っ白い空間の中で、一人の少女が悲しい顔で俺を見つめていた。
『あなたを異世界に転生させてあげましょう……その代わり一つお願いがあるのです……」
闇の様に真っ黒い髪に血の様に赤い目をした色白の美少女だ。白い布のような服をまとっており、その胸元からは豊かな谷間がのぞいでいるのがみえる。
人間離れした美しい容姿と、その雰囲気から目の前の少女が人ではないと俺にはわかった。
『もちろん、ただでとは言いません。あなたにとあるスキルを授けます。それはあなたがこの世界の常識を壊し、自らの道を進むと決めたときのその真価を発揮するでしょう。そして……あなたなら、きっと……」
少女の声がどんどん遠のいていく。
『お願いします……あなたならばきっとこの世界を……』
「俺は転生者だったんだな……なんで、こんな大事なことを忘れていたんだ? いっつ……」
起き上がろうとすると同時に襲ってくる腹部からの痛みに思わずうめき声をあげる。服を上げて痛むおなかを見ると血がにじまないようにと、丁寧に包帯がまかれているのが見える。
この怪我がきっかけで前世の記憶を取り戻したのだろう。なんとか起き上って鏡を見ると今黒髪黒目の少年が目の前にうつっていた。とりあえず、今の自分について記憶を整理する。
俺の名前はセイン=ギャンガーであり十三歳であること。
自分は妾の子のであるが辺境伯の次男であること。
妾とはいえ貴族であるため専属メイドがいること。
辺境伯の父は仕事が忙しく、家にはめったに帰ってこないこと。
そのため、血のつながらない母と、長男のドノバンが好き勝手やっており、この傷もドノバンにやられたのである。
彼は妾の俺が一緒の屋敷にいるのが気に食わないのか、訓練と言ってはしょっちゅう痛めつけてくるのだ。
「せっかく転生したのにあんまりよい状態とはいえないな……それに女神さまに何か頼まれたと思うんだけど……」
転生するときに言われた言葉を思いだそうにもいまいち記憶にもやがかかっている。
「とりあえずはもっとこの世界のことを調べないと……」
部屋の外に出て書庫で調べ物をしようと自室から出るのだった。
「ごめん、書庫ってどっちだっけ……?」
「……あっちです」
「よかったら案内を……」
「申し訳ありませんセイン様、仕事がありますので……」
さすがは辺境伯の家と屋敷というわけで少し歩くとかなりの数のメイドさんたちとすれ違う。だけど、返事はしてくれるけどむっちゃ塩対応だった……妾の子だからか、他にも理由があるのか、あまり俺は大事にされていないようだ。
そして、この世界は魔法が当たり前のようにあるようで、メイドの中には魔法で操った箒に掃除をさせていたり、何もない所から水を出して洗濯したり雑巾をあらっているものもいる。
どの子もみな可愛い系の美少女ばかりだったのは気のせいではないだろう。
父さんの趣味かな……歯医者の受付の女性がみんな可愛いのと顔の系統が一緒なんだよね……だけど……
「みんな……胸が小さくない? え、なんなのこれ、貧乳パラダイスかな?」
そう、メイドさんたちは全員が全員貧乳だったのである。目測だが、大半がAカップからBカップである。しかも、メイド服も俺の知っているものとは違いレースこそついているものの全体的にぴちっとしており体のラインを強調するものが多く、あげくには胸元にはハートマークの穴が開いている子もいたのだが、もちろん谷間などはなく、絶壁っぷりを強調しているのだ。
だからだろう、冷たくされてもあまりダメージはうけない。これが俺好みの巨乳メイドだったら死にたくなっただろう。貧乳メイドだからこそ冷たくされても耐えられた。
そして、なんとなく嫌な予感がして窓の外から街を眺めると歩いている人々が見えるが、女性は皆貧乳だった。
「ちょっとまって、巨乳はどこにいるんだよぉぉぉぉ!!」
絶望のあまり絶叫して壁に頭を何度もたたきつけるが、むっちゃいたい。夢かと思ったけどみたいだけど夢じゃなかったぁぁぁぁぁ(涙)
まって、この異世界って巨乳な女性はいないの?
別におっぱいに貴賤はないけど、好みはある。俺は巨乳の方がすきなのである。
「なんでここの掃除が終わっていないのよ、やっておけっていったでしょう!!」
キンキンとした怒鳴り声が聞こえてきたのでそちらへむかうと、金髪のメイドと黒髪のメイドが目に入る。
「そんな……ここはイザベルさんの担当じゃないですか!! 私は一刻も早くセイン様のご看病を……」
「はっ、あんな妾の子なんてどうでもいいでしょう? 私は正当後継者であるドノバン様の専属メイドとしての仕事があるのよ!! だいたいそんな醜くく大きくなって胸元もさらせないメイドが、私のようにスレンダーな美しい胸を持つ私と対等だとは思わないことね!!」
「う……それは……」
記憶をたどると金髪の胸元にハートマークの穴が開いているメイドがイザベラで、悲しそうな顔で自分の胸元を抑えている黒髪のメイドが俺の世話をしてくれているシグレだ。
シグレの胸は確かに絶壁なイザベラに比べれば大きいがBカップとCカップの中間くらいで決して巨乳とは言えないと思うんだけど……
「だいたいそんな醜く大きい胸でよくもまあ、貴族のメイドなんてできるわよね。恥ずかしくないのかしら?」
「痛いです……仕方ないじゃないですか、勝手に育っちゃたんですから……」
イザベラ意地の悪い笑みをうかべながら箒の先端でシグレの胸をつっつく。いったい何がおきているんだ? なんで少し胸が大きいくらいで彼女は理不尽なことを言われているんだ。
イザベラはシグレの胸をほうきの先端で押しのけて、距離ができるとにやりとわらう。
「はっ、魔法も使えない上にそんな無駄に大きい哀れ胸が私に口答えすんじゃないわよ!!」
バケツが宙に浮いたかと思うと、そのままシグレの頭上で反転し、中に入っていた汚れた水が降りそそぐ。
「きゃぁぁ!? ひどいです……なんでこんなことを……」
「じゃあ、私はドノバン様に呼ばれているからちゃんと綺麗にしておきなさいね。あのお方のために王都からやってくる『魔剣士』様をお迎えするのに忙しいんだから!! もしも、やらなかったら……わかってるわよね」
「うう……ひどすぎます……」
乱暴にホウキを放り投げるイザベル。周りには他のメイドもいるがなぜか咎める様子はないようだ。さすがに黙っていられずに口を開く。
決しておっぱいの大きい方の味方をしたわけじゃない。いや、本当にね。
「君たちなにを喧嘩しているの?」
「セイン様!! お怪我はもう大丈夫なのですか?」
「これはこれは臆病者のセイン様……ドノバン様との訓練でケガをおったようですがもうお元気なようですね。」
俺を見てシグレが心配そうに駆け寄って来るのとは逆に、イザベラの奴はなぜか馬鹿にするように笑っている。
「そうだ、セイン様からもいってくださりませんこと? 私はドノバン様から頼まれた大切な仕事があるんです。なのに、この子がどうしても掃除しろってうるさいんです」
「なっ、私は……」
「文句があるなら、ドノバン様に言わなきゃならなくなりますけど……どうされますか?」
馬鹿にしたようなイザベラの言葉に、脳裏にこれまでのドノバンに暴力を振るわれた記憶が思い出され、体中から冷や汗が流れ出る。
そして、いまだ痛むおなかを抑えて……丁寧に巻かれた包帯を思いだした。
「ねえ、シグレはこのおなかの包帯を巻いてくれたのかな?」
「は、はい!! 申し訳ありません、痛かったでしょうか?」
心配そうに見つめるその表情で本当だとわかった。正直俺は妾の子だから、他のメイドに軽んじられいるようだ。屋敷ですれ違ったメイドたちもそうだったし、イザベラのこの態度は貴族への者とは到底思えない。
それなのに、彼女は俺のために一生懸命尽くしてくれているのだ。だったら誰の味方をするかなんて決まってるよね。
「君さ……貴族である俺にそんな舐めた口をきいていいと思ってるの? そもそも、自分の仕事すらもできないなら専属メイドなんてやってる余裕ないんじゃない? やめたら?」
「な……私にそんなことを言えばドノバン様が……」
「俺はイザベラと話してるんだよ。兄さんは関係ないでしょ」
「なっ……失礼します!!」
俺が冷たい目で間髪いれず反論するとは思っていなかったのか、イザベラが悔しそうにうめき声をあげて踵を返す。
ちょっと胸がすーっとしたのは気のせいではないだろう。
というか掃除はどうするのさ……。まあ、俺の方からメイド長には言っておこう。
「セイン様、ありがとうございます!! ですが、あんなことを言ったらドノバン様に……」
「気にしないで、俺が馬鹿にされてるから専属メイドであるシグレまでひどいことを言われてるんだ。むしろ俺があやまる……」
「そんなことないです!! 私はセイン様のメイドで幸せです!!」
言葉の途中で思いっきり抱きしめられて思わずくぐもった声をあげてしまう。いや、女の子にこうしてもらうのはうれしいけど、普通の乳だからかた……くない?
このやわらかさはなんだ……?
はたからみればCカップだというのに、やたらとやわらかくてふわふわだ。そして、濡れているからか透けてしまった胸元には何かが巻かれているような……これってサラシじゃ……
「ああ、失礼しました。セイン様にかばっていただけたのがうれしくてつい……お洋服が汚れてしまいます……」
「大丈夫だよ、そんなことよりもつらかったでしょ?」
「ありがとうございます……それにしてもお強くなりましたね」
シグレがどこか熱い目でこちらを見つめてくる。
確かにこれまでのセインだったら、イザベラの背後にいる兄にびびって何も言えなかっただろう。だけど、俺に尽くしてくれている彼女が軽んじられるのが我慢ならなかったのだ。
とはいえ、いきなり言動が変わったら怪しまれるどうと適当な言い訳をする。
「まあ、俺も兄さんにぼこぼこにされてさ、いつまでもやられっぱなしじゃだめだなって……変わろうって思ったんだ……せっかくだからさ、色々勉強してみんなを見返したいんだ。書庫まで案内してくれないかな?」
「セイン様さすがです……もちろん、案内させていただきます!! それでは濡れてしまった服を着替えたら向かいましょう」
笑顔でスキップするシグレをだましていることに罪悪感を覚えつつ俺は書庫へ向かうのだった。
だけど、この時にもっと考えるべきだったのだ。なぜ屋敷には貧乳しかいないのか? また、やたらと体のラインが出る服を着ているのかを……
★★★
『大事なお知らせ』
新作を投稿しました!
タイトルは【悪役転生して世界を救ったけど、ED後に裏切られて追放された俺、辺境でスローライフしようとしたのに、なぜかかつての仲間が病んだ目をしながら追いかけてきちゃった……】です。
https://kakuyomu.jp/works/16818093082603962435
面白い作品になっているので、良ければみてほしいです!
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