15話 妻の務め

 寝室に用意されてあったよく冷えたハーブティーは香りがよく、酸味と甘味がリリアージュの好みに合っていた。

「美味しい」

 早朝から結婚式の準備や、披露宴など人の多い所での振る舞いに、とても疲れていたリリアージュは、ソファーでうとうとしてしまいうっかり眠ってしまった。


 エクウスが寝室に入って来たのも気づかずにいた。

「リリアージュ、リリアージュ」

 エクウスは優しく新妻の名前を呼んだが、彼女はすっかり寝入っているようだった。

「まあ、仕方がないか···」

 エクアドルは独り言を言って、そっとリリアージュを抱き抱えベットに寝かせた。

 エクウスはしばらくリリアージュの寝顔を眺めていたが、隣で眠ることにした。


 リリアージュが目を覚ましたのは明け方で、ゆっくりと目を開けると朝日がうっすらと差していた。

「えっ」

 見慣れない天井と隣で寝ているエクウスに驚いて声を上げてしまった。

 エクウスはリリアージュの声で目を覚ました。


「リリアージュ、おはよう」

「あ、えっと、おはようございます。申し訳ございません。わたくし寝てしまっていたのですね。ああ···何て言うことを···」

「疲れていたんだね」

 エクウスは笑いながら、リリアージュにそっとキスをした。


「まだ、眠いだろう?もう少し眠るかい?」

「いえ、たくさん寝させていただきました」

「そうかい、じゃあ」

 リリアージュの答えを待ったかのように、エクウスは再び彼女にキスをして、ナイトドレスの紐を解いた。

 エクウスとリリアージュは結ばれた。


 リリアージュは初めての経験で、恥ずかしさと驚き、行為の疲れでまた寝入ってしまった。

「無理をさせてしまっただろうか···」

 エクウスはリリアージュの頭を撫でながら、呟いていた。


 リリアージュが再び目を覚ましたのはお昼前だった。

 隣にエクウスはいなかった。

「妻としての務めは果たせたのかしら?」

 リリアージュは呟いた後、明け方の行為を思いだし赤面して、両手で頬を覆っていた。


 扉の開く音が聞こえ、エクウスが寝室に戻って来た。

「リリアージュ、起きたのかい。無理をさせてしまったようだね」

「だ、大丈夫です。わたくしちゃんと出来ましたでしょうか?」

「え、あ、ああ。大丈夫だ、よかったよ」

 リリアージュはエクウスの言葉を聞き、ほっとしたが、のぼせるように顔が赤くなってしまった。


「お腹が空いただろう?何か持ってこさせよう。それとも湯浴みにするかい?」

「先に湯浴みをお願いします」

 リリアージュは下を向いたままエクウスに答えていた。

 エクウスは真っ赤なリリアージュの頬にキスをした。

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