発見された地球。それは恩人である勇者の母星だった。なぜか起こった攻撃。両者は手を繋ぐ道を模索するにゃ。
久遠 れんり
第一章 事の始まり。あっちこっち
第1話 ファンタジー世界の始まり
あれ以降、おかしなものを、見ることが多い。
だがそれも、普通となった頃。
田舎では、クマの代わりに三メートルもある蜘蛛が
ああ、年金の方は、なくなったそうだ。
じっちゃんが泣いていた。
宇宙人がばら撒いた何かは、生き物を変異させ。地球環境は大きく変わった。
いま、学校に続く道の脇。目の前の木には、奇妙な果実がぶら下がっている。
見たところ、幼馴染みの
それは、俺を見た瞬間。
声、高らかに歌い始める……
「ばか。私のパンツを、そんなにじっとりと見なくて良いから。早く助けなさいよぉ」
ぶら下がっているせいで赤いのか、真っ赤な顔で仰る。
意外と元気だな。
「いやあ。パンツもあれだが、逆さになるとおっぱいが、その…… でかくなったなあ」
「ばっ。何処を見て…… もーやーだぁ、蔓が来たぁ。あれっ。これって、お尻から刺さって栄養を吸うんでしょ。早く…… 助けてくれたら、すっ…… 少しくらいなら、揉んでもいいから。早くう」
「よし、よく言った。その心意気や良し。助けて進ぜよう」
俺は腕を組み、ゆっくりと頷く。
「馬鹿なこと言っていないで、お尻の所に来から早く」
そう言った瞬間には、彼女は落下していた。
そして、肉食へと変異した木は、一気に燃え上がる。
「うむ。これはなかなか」
杏を受け止め、くるりと体勢を変えると……
「んんっ。もうっ。揉んだわね。行くわよ」
もぎゅもぎゅしていた手が、払われる。
「おまえなあ、もう少し情緒というか、余韻を、色気を…… ちょっと待て、殴るな。痛て。こら」
自由になったら、すぐこれだ。
助けてくれた俺に対して、殴る蹴るの
そして俺は
――嘘みたいだろ。こんな関係なのに、付き合ってはいないんだぜ。
「幼馴染みで、
だそうだ。
共に高校二年。多分。
年齢で行くと、大学生だが、あの時の続きからとなった。
いや、あの時。
一年間の混沌があったのだよ。
その後、ようやく人々は活動を開始して、今…… やっと、学校が再開。
あれは、三年前。
天気予報が外れた。
その日は、一日晴れだったはずだが、隕石みたいなモノが降ってきた。
そう、定番のコロニーではなく。
本物の隕石でもなく、クレーターの底には何もなかったそうだ。
狙われた目標は、居住人数では無く、広さだろうか?
世界中の都市を狙い撃つように、それは来た……
日本では、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市が無くなった。
そう、日本列島。ボッコボコの、ズッタズタ。
ワシントンD.C.、北京、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、モスクワ等々、某偉大な歌手が歌った有名曲。その歌詞から漏れたような所も、百以上大量に無くなった。
今では、世界における、正確な人口も分からない。
吹き荒れた嵐で、送電線は全滅。
平野部では、家まで吹き飛んだ。
そして、そんな混乱の最中、生き残った人たちの頭の中に声が聞こえる。
『地球はいただきます。環境的にいまいちなので、準備が出来るまで生かしておいてあげる。最後の時間を楽しんで。そんじゃ』
そして、生き残った人類は、混乱から一年後。
ようやっと落ち着き。過去の文明を何とか維持しようと考え、お金や教育、そして文明を復活させようと、行動を始めた。
舞い上がった埃により、暗雲に閉じ込められた三ヶ月。
その後、随分冷え込み、黒い雨や雪が降った。
その年は、当然だが作物は全滅。
備蓄で何とか暮らし、その間に農地を復活させる。
むろん、その間、学校など行っていない。
時代が時代なら、子供に対する不当労働。
勉強する機会を奪うなぁ。と騒ぐところだが、世界中が混乱中だと、そんな事は言えない。
ある偉人が、『先進国のエゴだよそれは……』と言ったとか言わないとか。だが、自身がその立場に立ち、人々はようやっと、そんな事を、言っていられない生活があることを、理解したようだ。
海外からの輸入など考えられなかったし、何処の国もきっと、今日の食事にも、文字通り一杯一杯だったしね。
そんな中で、じいちゃんは、絶望をした。
年金を五年遅らせて、四十二パーセントの増加。うっはうは、計画を企んでいた。雨の日も風の日もパートに出て、若い正社員から叱られ、我慢をした五年。
前職は、某大学の課長だった。
来年から、やっと…… そう思った矢先。
―― 国が無くなった。
その絶望は、孫である俺に向かった。
迷惑な話だ。
落ちてきたものにより、広がった謎物質。
魔力の元で、魔素と呼ばれているもの。
言っているのは、じいちゃんと俺だけだが。
適性があれば、自由に物理現象へと変換できる。
そして、もっと適性があれば、空気中の魔素に働きかけ、連鎖的に巨大な力を使うことができる。
むろんそんな事を、知っている人が他にも居るかもしれないが、じいちゃんが考え、実験して確認をした。
そして、錬金術。
物質変換には高濃度の魔素が必要で、探し発見をした魔素溜まり。そこに発生をする、空間のゆがみ。
これも、じいちゃんがダンジョンだと言って、俺達はそう決めた。
実際に、中ではバカみたいにモンスターが生まれるが、すべて質量のあるフェイクだ。
いや、魔法生物と言った方が良いだろうか? 体の中心に魔結晶があり、それを壊せば霧散をする。
そこで、その魔結晶を集め、ただの石を金に変換が出来た。
そう、すべてはじいちゃんの、年金への執念。
それが、すべての始まりとなった。
事が起こって、世界が埋め尽くされた暗闇の中。じいちゃんは思い立ったように、行動を始めた。
そして、それに付き合わされた孫は、人類最強となった。
そうだ…… 決して、間違ってはいけない。
人類最強だ。
霊長類最強は、言葉に出してはいけないと言われている。
そのキーワードを言うと、闇から
―― らしい。
実際に、じいちゃんはそう言って、怖がっていた。
そして、その実験過程で見つけた、ダンジョンの最奥にある核。
六角柱のクリスタルがぽつんとあり、そいつは触れると体に取り込める。
するとだ、体に何かが追加されて、再構築される。そう、人間をやめることが出来る。
ものすごく痛くて苦しい。そして意識の喪失。あれこそ臨死体験。
当然だが、じいちゃんと二人で、実験をした。
血液中や骨、細胞に、魔力を扱う器官のようなものが組み込まれるのではないかと仮説が立てられた。
電子顕微鏡があれば、確認を出来るのにと嘆いていたよ。
そう、それは、酸素を使って、糖をエネルギーに変える寄生体。
約二十億年前に取り込んだ、ミトコンドリアのように……
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