インターハイ2回戦ー白岡高校ー

 三ツ谷高校に勝利した俺たち、城伯高校は翌日にもすぐ試合がある。そのため、真っ直ぐに帰宅する。


 とはいえ、次の対戦チームの試合も見ておきたい。


 帰宅途中の電車の中で、過去の対戦チームの試合動画を見る。


 動画を真剣に見ながら、対策を考える。


 次の対戦相手は、神奈川県私立白岡高校。


 俺たちにとっては、未知の世界だ。


 三ツ谷高校も初めての対戦だった。


 白岡高校もまた、俺たちにとっては初めての対戦だ。


「この6番、川崎雄太かわさきゆうたは、リバウンドとるなぁ。背が高いから、しっかり、ボックスアウトしないと」


 慧は同じポジションのため、センターの川崎に注目してプレーを見ている。


 慧のいうボックスアウトとは、リバウンドを取るときに、相手に取られないようにガードすること。


 ボックスアウトがものすごく大事になる。


 まぁ、実際は背の高い人に対して、ボックスアウトするのも難しい。だから、弾き返されたボールを取ることで、リバウンドするしかない。


三田みたがポイントガードか。自分で行くこともあるけれど、アシストすることが多いな」


 俺は同じポイントガードの三田康太みたこうたのプレーを見て、アシストするときを狙えると感じた。


 ボールを奪うことができれば、チャンスが増える。


 つまり、スティールしてそのままシュートに持っていくことができれば、得点も奪える。


「明日はもっと声を出していこう。途中、流れが必ず白岡に行くこともある。そのときこそ、元気よく声を出していこう! 平常心だ」


 美香が俺と慧に声をかけた。


 美香が声をかけてくれると、元気が出てくる。


「美香、もし、元気がなくなったら、鼓舞してくれ」


 俺は美香にお願いする。


 美香は笑顔で親指を立てる。


「OK! 私も飲み込まれないようにするね。三ツ谷高校の時は飲まれたからね」


 俺は、美香もあの雰囲気に飲まれていたのかと、ようやく理解した。


 慣れるためには、今日の試合の時の雰囲気をイメージするしかない。


 イメージトレーニングしよう。


 動画に集中していると、あっという間に着いた。電車を降りると、ここからは、それぞれの家へと向かう。


 今日はこれで本当に解散。


「じゃあ、明日な!」


 慧が手を振って挨拶する。俺と美香も手を振って、家に向かって歩き出した。


 明日の試合も楽しくやろう。


 今日は楽しかった。ありがとう。明日もよろしくな。

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