久しぶりのオフ8

 達也のお見舞いに行った後、思いもよらないことが起こった。


 達也は入院中なので無理だったが、インターハイ出場が決定したお祝いに、焼肉パーティーをしようと高宮コーチが言ってきた。


「えっ? マジ?」


 俺は目を丸くした。


 男子バスケ部の全員で焼肉パーティーなんてびっくりだ。


 もちろん、男子バスケ部の一員である、マネージャーの美香も焼肉パーティーに参加。


 高宮コーチの奢りらしい。


 お昼ご飯に焼肉パーティーをしようということになり、今、焼肉屋さんで焼肉パーティーの真っ最中。


 自分で焼いて食べる。最高の時間。


「たくさん食べろー」


 高宮コーチはニコニコしながら言った。


 高校生なのでお酒は飲めないから、乾杯や縮小の挨拶はなく、とにかく食べることに集中した。


 同じテーブルで焼いていると、自分の焼いた肉がわからなくなって。


「あれ? 俺の肉……」


 なんてことになるかと思いきや、どうでもいいらしい。


 他人の焼いた肉でも構わず食べている。


「おっ……ゴホッゴホッ」


 灯が口いっぱいに焼肉を頬張って、慌てて食べるからむせている。


「食事はゆっくり味わって食べろよ」


 高宮コーチは、灯にそう言いつつも、なんだか楽しそうだ。


 意外とたくさん食べるのは拓斗だ。拓斗は普段、クールだし、あまり、モリモリ食べる印象もない。


 その拓斗が、1人で20人前は軽く平らげてしまうほどの大食いだったとは。


「食べっぷりが良いな、拓斗」


 高宮コーチは拓斗の食べっぷりに、気持ちよさそうだった。


 確かに拓斗の食べっぷりを見ていると、爽快で気持ちいい。


 これはお店のスタッフも大喜びだろうな。


 ワイワイ、ガヤガヤしながら、食べるご飯は美味しい。


 焼肉といえば、やっぱりご飯が進むよなぁ。


「おかわりー!」


 俺は、いつのまにかご飯を5杯もおかわりしていたようで。


「ご飯もよく食べるねぇ、5杯目だよ」


 お店のスタッフ、中年くらいの女性かな。笑顔でご飯を持ってくる。


「だって、美味しくてご飯も進んじゃうよねー」


 快が俺の言葉を代弁した。


「確かにそうだよなぁ」


 智樹がうんうんと頷きながら、焼肉を食べている。


「俺ももう一杯下さい」


 遠慮がちに頼んだのは、風斗。


 風斗はバスケの時は、積極的にプレーするようになったものの、バスケから抜けたら、遠慮がちだ。


 それでも、この美味しさに食欲が増しているようだ。


 遠慮しつつも、風斗は4杯目のご飯を、おかわりした。


 焼肉も1人何人前食べたのか、わからないほど、たくさん食べている。


 こんな最高の食事はないな。また、これからも気合入るし。


「うぅっ、もう、無理ぃ、お腹いっぱい」


 リタイアしたのは慧。慧もたくさん食べていたけれど、お腹が膨れたようだ。


 慧はお腹をさすりながら、深呼吸した。


 こんなにたくさん食べることも、滅多にない。いい機会だからと、つい、食べすぎて、お腹が苦しい。


 全員がお腹いっぱいになったところで、焼肉パーティーはお開き。


「高宮コーチ、ありがとうございました」


 と、慧が丁寧にお辞儀をして言うと、続いて、全員で声を揃えた。


「ありがとうございました」


 よし、焼肉もたくさん食べたし、インターハイも頑張るぞー!

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