凄腕のコーチがやってきた21

 鬼ごっこの後は、シュート練習。


 シュート練習も肩甲骨を動かして。


 俺は股関節と肩甲骨を意識してシュートした。


 おぉ、なんだ、この感覚は。凄くボールが伸びてる感じ。飛んでいる感じ。よくわからないけれど、凄く良いと思える感覚だ。


 ゴールにシュッとボールが入る。


「樹、良いぞ、その使い方」


 いろんな角度からシュートをする。


 シュート練習が終わったら、次はドリブル練習。


 ドリブル練習は2個のボールを使って、左右、別のドリブルをして、リズムも左右で変える。


 ドリブル練習も肩甲骨を使えって言ってたな。


 

「ここまでがウォーミングアップな」


 高宮コーチが手をパンパンと叩く。


 ここまでがウォーミングアップ。凄いウォーミングアップだな。ここから本格的な練習が始まるのか。


 ここまでやっても、ひとつひとつの練習は10分程度。ここまでの練習メニューで40分。


 残りの時間は、スクリーンとスクリーをかけたときのディフェンスの動きを確認してから、実践的な練習に入る。


「ディフェンスの基本はマンツーマンだ。でも、たまにゾーンを入れると、相手を惑わすことができる。だから、ゾーンも確認しよう」


 高宮コーチはそいいうと、ゾーンの説明をする。


「ステップは最初にやったフットワークと同じ。だけど、ゾーンはエリアを守る。だから、自分のエリアから抜け出した場合は、次のエリアを守る仲間に任せる」


 高宮コーチは実際にやりながら説明する。


「前の3人はフリスローラインまでのエリアを守る。フリースローラインから後ろは、ゴール下の2人が守る。ゾーンはマンツーマンよりも連携プレイが必要になるぞ」


 高宮コーチは、俺たちにゆっくりとやらせて確認させる。


 もちろん、ゾーンだけじゃなく、スクリーンやスクリーンをかけた時のディフェンスの対応、スライド、スイッチ、ブリッツ、ファイトオーバーの確認もする。


 でも、一気に言われてやっているから、どうも頭は追いついてこない。


 整理する暇もなく10分程度で確認が終わり、実践的な練習に入る。


「5対5、オールコートな」


 高宮コーチは手を叩く。


 オールコートというのは、バスケットボールコート全てという意味だ。


 完全な試合形式でやるのか。


「さて、今日はそれぞれ、自分のポジションとは違うポジションをやろうか」


 高宮コーチの声に、俺たち全員が驚いた。


「このチームは人数が少ない。だから、どのポジションでもできるようにする。そして、どこからでもシュートが打てるようにする。オールラウンダーだ」


 高宮コーチはそう告げると、チーム分けをする。


 高宮コーチと美香も入って5対5だ。



 Aチーム、俺、拓斗、快、美香、高宮コーチ。


 Bチーム、慧、貴、達也、灯、智樹。


 いつもとは違うポジション。


 俺は、普段、司令塔であるポイントガードだが、今回はシューティングガード。3ポイントを主に行う。また、切り込んでゴール下でシュートすることもある。


 ただ、ポジション関係なくケースバイケースで、シュートは様々。


 拓斗も本来は、ポイントガード。今はスモールフォワード。主にドライブ(ドリブルでゴール下に切り込む)でシュートに持ち込む。


 快はパワーフォワード。主にゴール下とミドル(スリーポイントよりは中、フリースローラインよりも後ろ)シュートをする。本来はセンター。


 美香はポイントガード。美香は普段はマネージャーだけど、こうやって練習にも付き合ってくれる。ケガする前はシューティングガードって言ってたような。ポイントガードは戦略を考えて指示をし、主にパスを行う。ゲームの司令塔だ。もちろん、タイミングが良ければ、自分でドライブしてシュートに持ち込むこともあるし、3ポイントも打つ。


 高宮コーチはセンター。センターは主にゴール下でのシュートを得意とする。ただ、高宮コーチが言うようにオールラウンダーだとしたら、センターも最近は外から(3ポイント)シュートを打つことになる。あれ? 高宮コーチって現役の時、ポジションは何処だったのだろう。


 ポジションが違うから、きちんとマークマンも確認しないとな。


 俺は灯、拓斗は達也、快は智樹、美香が慧、高宮コーチは貴につく。


 さて、本来のポジションとは違うポジション。


 どんな5対5になるのか。ワクワクしてきた。

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