第2話 華やかなる港町、その裏にて根を下ろす草花
石の道と水の道が交わりし地、
その一つが華やかな表街から一歩踏み込んだ通称、裏路地である。
ここは、かつての大戦、ソーレ・チェアーノ帝国の国教、カシュクス教を乗っ取っていた神、ファルテスを信仰するファルテス教団との戦いの傷痕を残す地区。
復興していく表街に覆い隠されていくかのように、あるいは復興に背を向けるかのように、荒廃した様のままである。
故にここは、いつしか行き場を失ったものたちが集まる無法の地へと変わっていった。
盗賊、冒険者崩れ。
表街の治安を守るオーヴェ・スタフィ王国の兵士たちもここへ踏み込むことはせず、表街の住人もよほどの事がない限りは訪れることはない。
そんな裏路地の一角、街が拡張される以前の城壁の名残と見張り用の塔が影を落とす街の一角。
一見すると主を失って久しい廃屋の一つ。
しかし、屋内をよくみれば、内部はほどよく片付けられており、見るものがみれば不自然さに気づく。
そんな廃屋の片隅、埃が被っていない床板をずらすと、かつてぶどう酒の貯蔵所に繋がる地下への階段が見つかる。
その階段をおりた先にあるのが、「
ルーメ・ラース。それは大陸を旅する冒険者達を支援している組織。
その活動は彼らの身元保証、武具や移動や輸送に使う
元々はファルテス教団との戦いで諜報、連絡等で陰ながら活躍していた地下組織だったが、教団との戦いの後、神、ファルテスの力の
この支部は教団との戦いの頃から存在する由緒ある支部で、故に入り口も当時のまま一見するだけではわからない場所にある。
この大陸の各地にひっそりと、しかしあまねく存在する。
正に野に咲く草花のような存在、それがルーメ・ラースなのである。
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