第10話 討伐準備
彼らが同行して戦うのではなく、彼らだけで
いくら相手が相手とはいえ、冒険者見習いの二人だけで果たして大丈夫であろうか。
そんな兵士たちの不安を見透かしたか兵士長が言葉を続ける。
「静まれ。今回のことは長老様との話し合いで決めたこと。そして二人の冒険者としての素質を見るための試練を兼ねている。
それと…」
兵士長は部下の中から二人の名を呼ぶ。
「お前達にはこの子達の二人の見張り役を頼みたい」
「分かりました」
兵士長の指示にその二人の兵士は不満を口にすることなく素直に答える。
兵士長は続ける。
「アクレイ、ルアンナ、無理はしなくていい。試練とはいえ、これに合格できなかったからとしても冒険者になる機会が失われるわけではない。
しかし、命を落としてしまえばそこで終わりだ」
「……はい!」
背筋を正し、はきはきと答える二人に兵士長は満足げにうなずく。
「うむ。訓示は以上だ、各自装備の点検!終わった班から点呼!」
「はっ!」
周りの兵士たちが戦いの準備を進める中、アクレイたち二人も石弓の弦の張りや弓の具合を再度確かめ、作動を確かめる。
「準備はいいな」
「はい!」
「では出発!」
点呼を終えた兵士たちは兵士長を先頭に連れ立って詰め所を出ると村の中を通る道を行進して、森へと入っていく。
最後尾を守る兵士の手前に緊張の面持ちで歩くアクレイとルアンナがいた。
二人にとっては村の外に出るのははじめてのことである。
ケルツを監視する役の兵士たちは一人また一人と離れて森の中に消えていく。
やがてアクレイ達も付き添う二人の兵士とともに本隊から離れ、四人で森の奥へと進む。
枝が生い茂って陽光を遮る森の中、時に
「二人とも、こっちだ」
「風上からだと気づかれるかもしれない」
兵士たちにそう言われて、彼らは方向を変え目的地から大きく迂回するように近づく。
しばらく進むと、突然兵士二人がアクレイたちを静止し、木の陰に身を隠すように指示される。
二人は言われたまま身を隠し、木陰から先を覗く。
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