第6話 冒険者になるための試練
二人は遠巻きにその様子を眺めていたが、その隊長と思われる兵士が気づいたのか、歩み寄ってくる。
「二人ともまた長老様の下に行くのか」
「そうよ、今度の冬を越したら挑戦するんだから」
ルアンナのその言葉に隊長は穏やかな笑みを浮かべる。
冒険者として旅立つにはまず住んでいる村に駐留する兵士に力を見せて旅立ちの許しを得、近くの町にある冒険者相互支援組合「
その過程をこなすことで冒険者として求められる資質や知識が試されるのである。
これは王国、ルーメ・ラース、共に若者を活用するための制度。
たとえ冒険者としての適性がなくても試練の過程で兵士として使えるようなら、そのまま兵士としての道も開けるし、こうした過程を経ることで血気にはやる経験の乏しい若者が無理をして命を落とすことも減る。
「ははは、楽しみにしているよ」
勇ましいルアンナの態度を侮る事なく受け止める隊長。そこに駆け足で別の兵士が近寄ってくる。
「隊長」
「どうした」
緩めていた表情を引き締め、報告を促す隊長。
「今、報告がありました。村の近くで
その報告を聞いた隊長は更に表情を険しくさせる。
尖った耳と鼻を持った醜悪な風貌で、大抵は粗末な革鎧を着込み、棍棒を手にしている。
元は自然界に存在する
そうした歪みの力で生まれた異形のものを人々は「ファルテスの尖兵」ファルテス・ルダートと呼び、それがいつしか縮まりファルダーと呼ばれるようになった。
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