VRMMORPG遭難日記

黒利圭介

2XXX年12月25日 1/2

俺の名前はクルト。


俺は現在『遭難』している。


折角なのでこの状況を皆に知って貰いたく筆を取っている。

遭難の理由は最新のVRMMORPGの最中に俺が極度の方向音痴だと発覚したからだ。


先日、人生で初めてのVR器機とMMORPG 『Mother Earth Online』を買った。


このゲームは冒険者になって剣と魔法の世界を技能を使い自由に遊ぶゲームだった。


キャラメイクは発売前に出来たので済ませておいた。と言っても顔は自身の顔をアニメ風にアレンジしたものを選んだ。


実はVRゲームは調べては居たが実際に遊ぶのは10年ぶりだったのもあり、初心者におすすめと書かれているヒューマンを選んだ。前衛も後衛も生産も得意と書かれていた。

ゲームがずっと出来なかった反動もあって何でもやってみたい。なら何でもできるものを選ぼうと思ったからだ。

3つ選べる初期技能は『鑑定』、『片手武器』、『簡易製作』にした。


これら以外の技能はプレイングや街で売っていたりモンスターを倒したときやダンジョン攻略したときに貰えるらしい。


装備品もスタート時に渡された。1000G(ゴールド)と任意の武器(片手剣にした)。最低限の初期防具。防具は上下だけで4つ付けられるアクセサリーは渡されなかった。どうやらメガネやマフラー手袋等がアクセサリーに含まれるらしい。



ワクワクしてプレイを開始して初めての街を彷徨っていたら、何故か街の外に居た。


おかしい。魔法系の技能を取りに行こうとしていたはずなのに。


外の光景はあまりにも美しく、筆舌しがたい。現実の光景すら凌駕していた。そんな気分だった。


その外の光景に感動して走り回っていた。


ついでにアイテムも拾っていた。

途中に林の中に入って

「木の枝」×10

「ツタ」×10

「蜘蛛の糸」×10

「木苺」×10

「砕けた獣の骨」×3

「ミミズ」×2

を拾った。


途中で商人と護衛(どうやらプレイヤーではなくAI)のいるキャンプ地で

「炭」5個

「火打石」1個

「ナイフ(破損)」1個

「石(大)」3個

を手に入れた。

商人から回復薬を買った。3つで300G一番下位の物だそうだ。

火打石とナイフは護衛の人がもう要らないとかでくれた。ラッキー。多分直せば使える。そのためにはスキル鍛冶とかが必要だろうけど探せば街に居るだろう。


河原で

「カエル」×3

「砕けた貝殻」×10

「卵」×1

「石(小)」×10

「錆びた剣」×1

を拾った。

卵は鳥の巣に置いてあったものを拝借した。

と言うのも他の鳥は巣立った様子があるのに1個だけ残されてたからだ。

後で料理に使ってみようと思う。


拾った物は鞄の中に入れた所で簡易製作を行ってみることにした。

蜘蛛の糸2つで「糸」、砕けた獣の骨で「骨の針」、糸と針と枝で「釣竿」ができた。

製作するとランダムで補正が入るようだ。


1本目はボロの簡易釣竿(耐久1)、2本目は簡易釣竿(耐久10)、3本目が頑丈な簡易釣竿(耐久30)。


技量が上がっていけば良いものが出来やすくなるのだろう。


他にも作れるの作ってみようと思い、

ツタを使い「ロープ」×5

貝殻を使い「石灰」×5

石(小)を使い「砥石」×5

を作った。


海に来てもモンスターに会わない。釣りでもやっていればモンスター出てくるかもと思い始めたがこれが間違いだった。


ミミズで釣れる魚型モンスター「アンジ」はまんま鯵だった。

アンジは陸上に出ると跳ねることしか出来ず徐々にダメージを受け、剣で叩けばアイテムに変わった。

「アンジの切り身」


ボロの簡易釣竿はこれで折れた。


アンジの切り身は更に製作技能が使えた。

焚き火で料理が出きるようだが塩が必要らしいので、焚き火を使わない製作をするとエサ団子になった。

アンジは補食される側なのか……。

アンジのエサ団子を使い、垂らしてみる。


5分待っても釣れない。

エサ盗られたかな?

と思って引き上げたが盗られていなかった。

もっと沖の方かな?と思いカエルに変えてみた。

すると大物が連続で釣れた。


スズキっぽい「ツヅーキ」

タイっぽい「クーイ」

ミノカサゴっぽい「マテナノサゴ」


マテナノサゴは毒状態ではなく相手のステータスが下がる毒針(能力ダウン)になった。


針と言うだけあって釣り針に使えた。

針は作成時か切れた時に交換可能となっていたので釣りを続けてみた。

ミミズでまたアンジを釣ったのでこちらも団子にした。


いっそ団子で粘ってみるかと思い挑戦した。思えばここで諦めておくべきだった。



30分後、俺は大物を引っ掻けた。

が一瞬で糸が切れた。

これはどうやら超大物のようだ。

そう思ったら引くべきだったんだ。


針を毒針に変え、エサもツヅーキをそのまんま付けて、紐をロープに変えて枝を組み木の要領で組み合わせ、壊れたナイフの握り部分まで利用してリールを作った。

そんなもの作らなければよかった。


「ハイクオリティな漁具」が完成した。耐久度150の超高スペック釣竿、というか漁に使う道具だった。


1時間後それは現れた。

海岸からでも見える大きな尾びれ。

「ウォーホエールキング」と表示されている。

とんでもない化け物を目の前に恐怖で固まり漁具にしがみついていた。


もちろん俺はあっという間に海に引きずり込まれてしまった。


ゲームなので息苦しさは無い。

がHPは減っていた。窒息によるダメージだった。とはいえ途中で海面に出たのでそんなに大きなダメージはなかった。

パニックに陥って、手は離せないし、毒針の効果で海面に叩きつけられるダメージも少なく済み、かなりの時間を引っ張り回された。

途中で海面を滑ったがジェットスキーみたいになった(結構楽しかったし、海面に出ているときは自然回復でHPが少し回復する)が、途中で潜られてまた窒息し始めた。



それを2時間ぐらい繰り返し引きずり回され、HP残量を見ていたら残り3(初期60)。そろそろ死に戻りかとか思っていたら、リスポーン地点の設定しますか?と目の前に表示された。


ああ、死に戻る場所の話か。最初の町が良いなと思い場所を設定しようとしたら


最寄りのセーフティーゾーンをリスポーン地点として設定すると言う話だった。


そして俺のHPは0になり、この無人島にリスポーンした。

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