第27話 武装解除
◇
不意の遭遇からの不幸なすれ違いの果て、こちらの獲物を横取りしようとした冒険者のリーダー格は、事故によりリスポーンしてしまった。
岩陰になにか居るような気配を感じ、ノールックでカラシニコフを撃ち込めば、やはり気のせいだったのか、勘をあてにしてはいけないね。
弾の行き先はどこへやら?
跳弾したカラシニコフ弾の向かった先は、冒険者のリーダー格の頭を側面から貫いてしまった。
全く、流れ弾というものはおそろしいものだね? HAHAHA!
これはいかんと倒れた彼のもとへと駆け寄れば、目測を誤ってしまったことで首に足がクリーンヒット。
ゴールポストはどこにも見当たらず、小気味のいい音を立てて面白い方向に折れ曲がってしまった彼の首だったが、それでも息があったから驚きだ。
転生者になんてものを与えているんだい? ジーザスのクソッタレ!
そんなこんなでひと悶着あった以上は、ナギ姐からお詫びとして、解体中の獲物を投げ渡せば、これまた運悪く倒れたままの彼が、キャッチし損ねて下敷きとなったことでリスポーンした訳だ。
本当、選ばれし勇者しかり、転生者しかり、この世界のイレギュラーというものは、どうしてこうも生命力が強いのか?
全く、この世界は不思議に満ちているし、俺もその恩恵を受けた一人って訳だ。
さて、リーダー格の消滅により、取り残された残り三人からは、まるで戦意を感じられず、むしろ怯えているように見えるのは何故だろう?
とりあえずそうだね、武装解除して尋問するしかないね?
「全員武器を捨てて手を上げろ!」
「おい、あたしらの言ってる意味、わかるよな? 武器を捨てれば悪いようにしない」
もちろん俺とナギ姐は銃を突き付け、周辺の警戒を怠らず、冒険者たちの動きを注意深く観察し続けた。
結局のところ武装解除は、素直に応じてくれたためにつつがなく終わりを迎え、あとはナギ姐に任せて周囲の警戒に専念した。
既に野生の魔物は掃討済みの為、とても暇な時間となったが、リーダー格の男以外は、全員女性のハーレムパーティを組むのは良いが、最悪な状況を想定していないことに思わず乾いた笑いが込み上げてくるってものだ。
ナギ姐の尋問が終わり次第、彼女たちの処遇を決めることになるが、支援職のみでこのダンジョンを突破するのも容易では無いだろう……職業適性を全無視した、一部の例外を除いてね? HAHAHA!
「タイヨウ(カスガ)、ちょっといいか? 少し面倒なことになるかもしれないぜ?……From here on, I will ask you in english conversation(ここからは英会話で頼む)」
尋問を終えたナギ姐が、俺に向かって符丁と英語を交えるってことは、少しどころではない程度に面倒であることが確定した。
最低ラインとして名家に転生したドラ息子か、最悪国際問題かのどちらかだろう。
「All right. By the way, what kind of mother fu**er problem did you have?(わかった。ところで、どんなクソッタレな問題があったんだ?)」───。
◇
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