第2話 恋に墜ちる


「私も、萌花のこと大好きだよ」


そう言うと、彼女の髪がふんわり揺れた 。

「うわぁっ!!じゃあ両思いだぁっ!私達、やっぱ運命なのかなぁ?」


萌花は、呑気にヘンなことを言った。

運命?ありえない。運命なんてものは少女漫画にしか存在しない。

この世界は必然的に生まれて、必然的に消滅する。

人だってそうだ。

勝手に誕生して、勝手に繁殖して、勝手に消え去る。


「運命だなんて、そんな簡単な言葉でくぐらないでよね。

私達は、必然的に出会ってるの。」


まるで少女漫画のキャラが言いそうな事を言ってしまった。

くだらない。

この餓鬼臭い発言に、萌花は

「えぇ?!めずらし〜!!楓が冗談言ってる〜!かわいーねっ!」

「もしかしたら明日は大雪かなぁ?」


本当に呑気だ。でもそんなところが可愛い。

私が可愛いって?冗談じゃない。

私は全く可愛くない。

勿論、容姿的な事ではなくて性格的にだ。

私はよく人をバカにする。そして優越感に浸っているのだ。

周りを餓鬼と言っているが、私だってその中の一員である。


そんな私を受け止めてくれる萌花は、優しい 。

こんな友達、初めてだ。と言うか、萌花が一番最初で最後の友達。

大切にしないと、何処かに行ってしまいそうだ。

彼女に羽が生えたかのように、ふんわりと、ゆらゆらと揺れて、

他の人のところへ行ってしまいそうだ。


醜い…。



正直に言うと、私は萌花を独り占めしてしまいたい。

藤田楓と言う名前を油性ペンで刻みたい。

私だけのもの、私以外は触れられない。


そう思っていても現実はハッキリと萌花にそんな事は言えないし、

彼女のような人気者を独り占めするなんてできないだろう。


こんな思考に至ってしまう、

墜ちる、自分が。


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けれど、最近萌花の様子が何だかおかしい。

ずっと何かを探しているような目。

「どうかした?最近疲れてるの?」

「え?別にそんなことないよー!楓こそ、、どうしたの?」

「別に、萌花の様子がおかしかったから」

「ええぇ?そんなふうに見える?!」

多分萌花は私に隠し事をしているのだろう。

まぁ別にいいけど。


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そんなこんなで入学式も終わり、

下校となった。


下校のときも、私はひとり。

だって、萌花は私のものじゃなから。

誰とも馴れ合う気はないから。


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