恋に沈む

住人ㇳ居ㇿ

第1話 恋に落ちる

きっかけは、とても些細なことだった。

幼稚園の頃一緒にブランコをして遊んでいただけのことだった。

今思えば、初対面であんなに仲良く遊べるのか?

今の私だったらそんな事できない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



入学式準備、片付けまで在校生が行うらしい。

なんで奴らのために私たちまでやらないといけないんだと、少し苛立った。

といっても、私も丁度一年前は小学校にいた身である。

少し位はやってやるか。仕方なく手を動かす。

手を動かしてそう立たないうちに、またあの苛立ちがやってきた。

というか、他の在校生たちも私のような感情を持っているやつもいるだろう。

そう思って耳を澄ますと周りから声が聞こえた。

「あ~。面倒くせえ〜」

「ちゃっちゃと終わらせよ」

「帰りてぇ…」


まるで餓鬼だ。

同じ中学生と思うと恥ずかしくなる。


そんなことを考えているうちに入学式準備が終わった。

入学式まであと一時間半。

「在校生は、入学式まで昼食を食べたりして教室で静かに待機していてください。」

先生の話を聞いていたのは多分、私と各学年の真面目な奴らだけだったと思う。


やっと自由になった。

取り敢えず昼食を食べるとしよう。 弁当と水筒を片手にある所、

そこは音楽室の隣にある、軽音部の部室だ。

私は何時も通りに階段に座った。

この階段は普通の教室高くし、ステージ代わりに使うらしい。

弁当の蓋を開け、ちまちまと昨日の残り物のきんぴらごぼうを食べる。

普通の女子中学生だったら 友達と机を合わせて他人の恋話だの、

陰口だのを話すかもしれないが、私にはそんな相手はいない。

必要以上に他人と話したくない。


チッ チッ チッ ・・・

時計の針の音が孤独なのを知らせてくるようだ。


「見つけた!!!  楓どこに行ったと思ったらやっぱりか!!!」


明るく大きな声が、孤独をかき消してくれた。

元気で少しドジでふわふわした雰囲気。

彼女の存在が、私の癒やしであり 生きる活力となる。


「萌花、なんでわかったの?」

「えぇ!?そりゃわかるでしょ!?」

「も〜!!今年も一緒にいるって約束したのに!!」

「今年も?毎年じゃない?」

「そうじゃん!!!!」

「ほんとかわいい〜!! 楓〜好き〜♡」


「私も、萌花のこと大好きだよ」

                     .

これは、私の好きな人と悩みを抱える 中学生''たち"の空回る話である。

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