第4話 私のステータス
私が生きる道はどこにあるのだろう? 頭の中はそればかり。
私のお世話係のメイドのセリーナさんに聞いてみようかな。
セリーナは、私と同じくらいの年齢で、茶色の髪の毛を後ろで1つにまとめている美人さんだ。私の話、聞いてくれるかな。
「セリーナ、お茶を2つお願いね」
「分かりました。お任せください、お嬢様」
「セリーナ。実は私は記憶が無いの。だから、あなたの知っていることを全部教えてくださらないかしら、お願いします」
お茶が来たところで、セリーナにも椅子に座ってもらい。お茶を一口飲んでからお願いした。
紅茶かな? 香りがすごく良くておいしい。
「お嬢様は確かに記憶が無くなったようですね。今まででしたら、お願いされる事はありませんでした。貴族が平民の私たちにお願いをする必要はありません。私が知っていることを話しますからお任せください」
そう言ってセリーナもお茶を一口飲んでから、ゆっくりと話し始めた。
「ここは、ユクライル王国の王都ユクラシルです。自然の豊かさを生かした農業や牧畜などが盛んです。ただ、近年、王都の近くに『魔物』が現れるようになってきてとても怖くなりました」
「魔物ってどんなものなの? それにどうして王都に出るの?」
「ゴブリンとかオークといわれる魔物が出るようで、人間を食べるようです。王国の北にある「黒の森」にいた魔物が増えてしまって、最近は王都近くの森までやって来ているようです」
「そんな魔物から人を守るために、聖女学院は作られたのかしら」
「そうです。貴族の務めだと旦那様は言ってらっしゃいました。そして、お嬢様の活躍を期待していらっしゃいました」
「そうだったのね。私は頑張っていたのかしら」
「お嬢様は頑張っていらっしゃいました。孤児院を訪問なさってもいらっしゃいましたし。ただ、回復魔法が使えなくて悩んでいらっしゃったようです」
セリーナは、話し終わると、ふうと息を吐いた。
「セリーナ、言いにくい事もあったでしょうが、色々話してくれてありがとう、そしてお疲れ様。とても助かったわ」
「大丈夫です。いつでもこのセリーナにお任せください。出来る事はなんでもやります」
自分のこれまでを聞いてみたけれど、自分にできる事は浮かばなかった。
でもあきらめないよ、私。女神さまに誓ったから。
「セリーナちょっと一人で考えてみるね」
そう断って、夢に出て来た女神さまのギフトについて考えてみた。
ギフトと自分のスキルが分かったら何か道が開けるかもしれない。
異世界ラノベの定番の言葉を言ってみれば自分のギフトやステータスが分かるかな。発動キーワードはこれかな。
「ステータスオープン」
あれ? だめだ……。半透明の四角いボードが見えるはずなんだけど、そんなもの何も見えない。体にも全然変化が無い。でもあきらめないよ。違うかもしれないじゃない。
剣と魔法の世界で相手のステータスを見られる言葉。そうだ! 自分の能力を「鑑定」するのはどうだろう?
「鑑定!」
見えない……。これもだめか。まだ他に何かあるかな。
そう言えば、魔法を使う時は、確か精神を集中しないとだめだったんだよね。集中力が足りないと魔法も発動しなかった。とにかく意識を集中するようにしてみよう。
(自分の意識を集中して。私のステータスよ現れてください)
私は、祈るように両手を組んでから心の底から念じた。
「おお! 見えた!」
頭の中にぼやっと、スキルが浮かんできた。もっと集中するとはっきり見えてきた。
――――――――――――
名前:サリー・グレアム
スキル:基礎魔法
スキル:聖魔法Lv99(身体強化、バインド、バリア)
スキル:調合Lv99(未)
スキル:科学魔法Lv99(未)
スキル:探知Lv99
ギフト:女神フリーディアの加護(空間収納、科学魔法創造、スキル習得率大幅増加)
――――――――――――
大枠のスキルレベルがLv99って最高値なのかな。女神さまの加護だろうけどすごいな。
聖魔法の()の中は、この体のワタシのスキルだったのだろう。ヒールが習得できてないのか、その代わり、身体強化とバインド、バリアが使えるんだ。結構な戦闘力があるんじゃない。神官長様が暴力と言っていたのは、誤解されたのかもしれないな。
調合スキルがあるから、回復薬を作ればヒールできなくても人を助けられる。これはよかった。これからは、女神様の加護があるから、ヒールもできるようになるかもしれない。
科学魔法というのが、女神さまの言っていた特別な魔法のようだ。面白い魔法が作れるかもしれない。でも、すぐ使えないのが欠点かな。
空間収納が使えるのか。女神様のギフトはすごいな。フリーディア様ありがとう。
ともかく、回復薬を作れることで、自分の生きる道に光が差したように感じた。
回復薬を作りのためにお母様の所へ相談に行こうと思った、私の心はウキウキだった。
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