第10話 フォーリアの内情
私たちは小屋の中へ入り、私はキッチンで裏の森で採れた花を使ったハーブティーを淹れている。
オスカーはカウンター越しから見えるダイニングのテーブルについて、話を再開した。
こうしているとなんだか新婚の夫婦みたい……。話の内容はディープだけど……。
「1年ほど前、フォーリア国王は突如病におかされ床に伏せられてしまったのだ」
「ありゃ……何の病気なの?」
私はティーポットを軽く揺すりながら尋ねる。
「それが、城の者も知っているのはごくわずからしく、俺も知らないんだ。ただ病気で寝ていると聞かされている。それからすぐにドム王子が国王代理となり、バルド宰相と共に国を仕切り始めた」
「ありゃ……怪しいね」
「あぁ、だがそれに関しては証拠が掴めない。そしてその後すぐに2人は召喚の研究を始めた。俺は……あえてそのまま様子を見ることにしたんだ」
オスカーは申し訳なさそうにそう言った。
「うん? はい、どうぞ」
私は首を傾げながら、ハーブティーをオスカーの前に置き、自身もオスカーの向かいに腰掛けた。
「あぁ、ありがとう。俺は、ノエルからの報告でそのうち召喚がされるかもしれないと情報を掴んでいたのに、止めようとはしなかった。なぜかわかるか?」
「うーん……なんで?」
「召喚をしたという証拠を諸国会議へ叩きつけて、ドム王子を失脚させるためだ」
「おぉ、なるほど!」
「エマ、感心している場合じゃないんだ。俺は……そのためにお前を利用したも同然だ。お前はこんな世界になんか来たくなかったかもしれないのに……」
「あ、それで巻き込んだって?」
「あぁ。俺は……お前を初めて見るまで、召喚者に対しての扱いはその程度だったんだ……。ドム王子を失脚させるための道具としてしか考えていなかった。これではやっていることはドム王子らとなんら変わらんな……」
「そっか……でも今は、違うんだ?」
「あぁ、なんていうか、その……召喚者がそんな可愛らしい少女だとは思わなかったんだ……」
「か、かわっ……!?」
私はボンと顔が熱くなる。すると、言った本人であるオスカーもなぜか顔を真っ赤にしていた。
「す、すまんこんなこと言ってしまって……!」
「いえ……オスカーがまさかそんな風に思ってるって思わなくて……」
オスカーは、私が怖い訳ではないのかな……。こうやって照れたりとか、可愛いだなんて言ったりするし。
もっと、彼のことが知りたい。私はそんな風に思っていた。
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