第4話 王家の隠し通路
「俺は、覚悟などとっくにできているが……エマ様は……」
と、オスカー。
「え、どういうことですか?」
戸惑う私。それに対しノエルが選択肢を投げかける。
「とりあえず早く決断してほしいから、どっちか選べよ。このままこの城にいてあのゴミ王子に身体を改造され精神を支配されてまで王妃になりたいか、この国逃げ出して自分のスキルで自由に生活するか……選べ、エマ!」
「に、逃げる!」
身体を改造されるって何!?
「よく言った! じゃ、逃げんぞ!」
「エマ様、この部屋には王家の隠し通路があります。そこを通って海へ出ましょう」
オスカーはそう言って部屋の隅に立てかけてあった立派な槍を背中に装備した。
王家の隠し通路!?
「はい!」
私はとりあえず返事をして彼についていく。
すると、本棚の後ろに扉があり、地下への階段が続いていた。
⸺⸺王家の隠し通路⸺⸺
オスカーが本棚の仕掛けを元に戻し3人で地下への階段を降りると、大きな地底湖のある洞窟へと出る。
「ふぅ、ここに来ればまぁ大丈夫だろ」
ノエルはそう言って岸壁に設置されている
すると、他の松明にも次々に火が灯っていき、洞窟内が明るく照らされた。
「うわぁすごいですね……」
「あー、そっか。まだこっちに召喚されて1日経ってねぇんだな。これは
そうノエルが説明してくれる。
「へぇぇ……」
私は機械みたいなものだなと思った。
「来て早々こんなことに巻き込んでしまって申し訳ございません……」
と、オスカー。
「巻き込む?」
私は首を傾げた。だって、巻き込んだのは私の方では?
「さて、どっから話したもんかね~」
ノエルがそう言って歩き出したので、私とオスカーも続いて歩き始めた。
「まずはエマ様に関係のある話しをすべきだが……」
オスカーはそう言って背中の槍を構える。
「ま、何十年も使われてなかったからそりゃ魔物の
ノエルも両腰に下げていた双剣を引き抜く。
「え、魔物!?」
私が驚いていると、洞窟の奥から黒いモヤをまとったトカゲやヘビのような化物がたくさん姿を現した。
「エマ様は下がっていてください。すぐに終わらせますので」
「は、はい……」
私が見守る中、オスカーとノエルは魔物の大群へと飛びかかった。
⸺⸺雷光突き⸺⸺
オスカーが雷をまとった槍で魔物を一突きする。すると、魔物はすぐに黒い霧となって消えていった。
そっか、魔物は倒すと消えていくんだ。
⸺⸺爆炎斬り⸺⸺
次にノエルが双剣に炎をまとって魔物へ斬りかかると、またもや魔物は黒い霧となって消えた。
その後もオスカーは雷の技を、ノエルは炎の技を駆使して次々に魔物を倒していく。
その光景に私は完全に見惚れており、気付けば一人で拍手なんかして盛り上がっていた。
「ふぅ、こんなもんか」
ノエルはそう言って納刀する。
「エマ様、お待たせ致しました。参りましょう」
オスカーも槍を背中に収めると、紳士にそう言った。
「す、すごかったです!」
私が興奮気味に駆け寄ると、オスカーはすぐに私に背を向け見ないようにしていた。
「あ、ごめんなさい……」
「い、いえ! こちらこそすみません……」
そんな私たちのやり取りを、ノエルは難しい顔で眺めていた。
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