地味な私と完璧美少女が異世界転移!

真生えん

第1話 いつもの放課後

「ねえ、貴羽。今日の夕ご飯何が良い?」

夕日の差し込む放課後の下校途中。アオちゃんは昨日の夕飯の献立を呟きながら、冷蔵庫の中を思い出している。

「今旬の新玉ねぎを使った料理が良いのではないでしょうか?」

自信がな異性で声が小さくなってしまう。私の悪い癖だ。

校門から駅へ向かう、同じ学校の制服姿が多い道。視線が集まるアオちゃんの横にいることが申し訳なく思ってしまうのは、出会った頃から変わらない。故に、私は声が小さくなってしまう。

「おー。高嶺ちゃん、今度オレ、野球の試合あるんだけど見にこない?」

最近噂の先輩が通りすがりに声をかけてきた。もちろんアオちゃんに。アオちゃんはいろんな人と知り合いなのだ。さすがだ。

「ああ、先輩。考えておきます〜」

手をひらひら振りながら私の手を引いて先輩をスルーする。噂の先輩は「釣れないな〜」と少し頬を膨らませる。

しかしその陰でこそこそと話す女子生徒もいる。

――私が守らないと……。

先輩からも、陰口を言う女子からも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る