No.5『ある星の神話』

空色凪

第一部 神約星書『創星記』第一章『宇宙開闢』

一 太初において、そこには無も有も無かった。空間も時流も無かった。天界も地獄も無かった。何者かの庇護を受けて、発動した。始まりは波であった。その前は久遠の凪であった。標識なき波は次第に虚空に反射し合わさり、意識の種子となった。これが生命の開始である。

二 そのとき、死も無かった。不死も無かった。昼と夜の標識も無かった……

七 神々はこの創造より後に生まれた。だとしたら、何者が何処からこの創造を起こしたのか。または、起こさなかったのか。最高天に君臨し、この世界を監視する者のみがこれを知る。あるいは、彼の者すら知らない。

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