双子の悲劇

雨宮 徹

双子の悲劇

 真希と花梨は一卵性双子だった。双子なので周りからは「仲がいいに違いない」と思われていたが、それは誤りだ。彼女たちはお互いを憎んでいた。殺したいほどに。


◇ ◇ ◇ ◇


 長女である真希は次女の花梨が大嫌いだった。真希は花梨に恋人を奪われたからだ。


 真希は考えた。花梨を殺せば、彼が再び自分と付き合うに違いないと。だから、花梨を殺すことに躊躇はなかった。


 真希は人気の無いところに花梨を呼び出すと、刃物で花梨を刺し殺した。妹の最後の言葉は「あなたも死ぬ運命にある」だった。


 真希はその言葉を苦し紛れの一言だと考えた。すでに、花梨は死んだのだから。人を殺したからには、証拠を隠滅しなければならない。そこで、真希は花梨の死体を燃やすことにした。これなら、殺人はバレないに違いない。


◇ ◇ ◇ ◇


 次女の花梨は姉の真希が嫌いだった。姉だから、クリスマスのおもちゃは真希の方が最新型のゲーム機だったし、両親に甘やかされた影響か自己中心的だった。


 花梨は考えた。真希を殺せば自分の人生が変わるに違いないと。花梨はどうやって真希を殺そうか悩んだ。そこで、花梨は一計を案じた。花梨は姉のワイングラスに細工をする。これで、万事うまくいく。


◇ ◇ ◇ ◇


 真希は妹の花梨を殺したことで、気分が高揚していた。そうだ、お祝いにワインでも飲もう。勝利の美酒は格別だった。これまでのどんなワインよりも。


 次の瞬間、真希は息が苦しくなった。病気にしては急すぎる。ふと、ワイングラスを見ると、奇妙な粉が付いていた。まさか、と思う間もなく真希は生き絶えた。

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双子の悲劇 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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