物語を書く時の自分との約束

 今回は私の弱音です。

 鬱陶しいと思います。

 適当に読み飛ばしてください。

 それでも書きなぐる事をどうかお許しください。



 中学生の時に読んだある漫画の後書きで、作者さんが言っていた事があります。


「キャラクターを殺すか殺さないか、まあ殺しましょうと言う事になりまして、ただし殺すならきちんとちゃんと殺そう、と」


 手元に原本が無いので意訳ですが、そんな内容でした。


 Mr.Childrenの曲の歌詞に、こんなものがあります。


「駄目な映画を盛り上げる為に簡単に命が失われていく」




 大勢の方が亡くなる描写で凄惨さを演出する、物語の内容によっては必要な事です。

 進撃の巨人を始め、一時爆発的に流行った巨大生物と戦うパニックホラー。

 こういう作品は人の死を多く扱います。


 進撃の巨人の凄い所は、その計算し尽くされた緻密なストーリーもありますが、一人一人の人生と、その人の死を恐ろしく丁寧に描いていた所ではないかと私は思います。

 私はその描写が怖くて途中で挫折してしまいました。

 もう少し勇気が出たらちゃんと読み直したいです。


 私が物語を書く時に、自分としている約束があります。

「むやみやたらに人を殺さない。人が死ぬお話を書くならば、なるべく丁寧に、きちんと殺す事」

 です。


 亡くなるキャラクターに敬意を持って、きちんと殺さないといけない。


 中々ハードルが高い事です。

 災害で大勢の方が亡くなった後の時間軸のお話を書いた事がありましたが、公開するまで随分悩みました。


 これでいいのか。

 人の死を利用した感動ポルノになってしまっていないか。

 亡くなった方に最大限の敬意を持っているか。



 Wikipediaで感動ポルノの定義を見てみましょう。引用します。


“感動ポルノ(かんどうポルノ、英語: Inspiration porn) とは、主に身体障害者が健常者に同情・感動をもたらすコンテンツとして消費されることを批判的に表した言葉。特に、「まじめで頑張り屋」など特定のステレオタイプなイメージを押し付けられた障害者や、余命宣告者などの同情を誘いやすい立場の人を用いて視聴者を感動させようとする「お涙頂戴」のコンテンツがこのように呼ばれる。”



 とのことです。

 お涙頂戴のコンテンツ。

 中々耳に痛いですね。


 とは言え、人を感動させる作品を書きたい。

 心を震わせる作品を書きたい。

 私達はどうしたら、感動ポルノから脱却できるでしょうか。


 キャラクターに人間としての弱さとズルさを持ってもらう事、これが出来たらいいのですが、そうして書いたつもりでも、読み返すと、感動の結末を煽るだけ、美しいだけの話になっていたりします。

 お涙頂戴。

 これはこれで、感動ポルノと呼べなくも無い。


 答えは中々出ませんが、私はとりあえずなるべく作品の中で「人の死」を扱わない、という極めて逃げに近い選択をして来ました。


 なんでこんな話をしているのかと言うと、ちょっと前から書いている実話怪談のネタが切れてきまして。


 今までのお話でもおじいちゃんが亡くなった時、とかそういうお話をしてきましたが、そういう自然な亡くなり方では無いお話に手をつけないといけなくなってきました。


 じゃあ書かなければ良いじゃない。


 しかし、元々実話怪談を書き始めたきっかけは、まさにその思い出を書き留める事でした。


 中々ハードルが高い。

 しかし起きてしまった事は起きてしまった事です。

 実話故、良い事も悪い事もある。

 完全な悪人は存在しない。

 悪い人では無かった。

 かと言って、完璧な人では無かった。


 自分だってそうです。

 良い人間ではありません。

 誰かに傷つけられたと喚き散らしながら、誰かを傷つけて生きてきました。




 まとまりの無い話になってしまいました。

 実話怪談を一気に書きすぎて、ちょっとくたびれた故の弱音です。

 思い出を吐露しすぎてしまいました。

 実話怪談というのは作り話で無い以上、言わば自分自身の人生の切り売りです。



 ちょっと息抜きにBL(私はBL作家を自称している筈なんですけど……)を書きつつ、実話怪談も収束に向けて丁寧に書いていこうと思います。

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