カクヨムでオメガバースを滅多に見ない理由

 なんででしょうね?


 皆さんオメガバースを知っていますか?

 BL、TL界隈の方以外は、「知らん」「名前は聞いた事ある」「なんかえっちなやつでしょ?」


 くらいの感じでしょうか。


 オメガバースの発祥はアメリカ、二次創作から発生した設定の様です。

 ドラマ『スーパーナチュラル』のファンダムで流行って、他の作品、また他の国にも広がって行ったという感じです。


 15年〜あるいはもう少し前に、本屋さんでこんな煽りを見かけたのを覚えています。

「BLは、進化する」

 当時、日本に入って間もなかったであろうオメガバースのキャッチコピーでした。

 雷に打たれたような気持ちになったのを覚えています。

「一体、BLに何が起きるんだ!?」


 現在は日本の漫画や小説投稿サイトでも良く見かけますが、韓国から輸入されているBL漫画にとても多いイメージがあります。

 また、TL漫画、小説でも割と浸透しています。



 さて。

 オメガバースとはなんぞや。


 遠くUSAで生まれ、作品が増える事にじわじわと設定が進化し、書き手各々によって解釈が異なったりもするので、「これがオメガバースです!」と一概に言えるものでもありません。


 よって、以下に書くのはあくまで「縦縞ヨリ」という人が解釈したオメガバースです。

 他の人の考えるオメガバースとは微妙に、あるいは大きく異なる場合があります。

 そこだけご注意いただけると嬉しいです。



 一つ確かなのは、性別は男女と共に

 α(アルファ)

 β(ベータ)

 Ω(オメガ)

 というというカテゴリーがあり、Ωは男女共に妊娠できるという事です。



 αは、妊娠させる能力に秀でています。

 男女居ますが、女性のαが妊娠時の行為や生殖器の形状については、解釈がかなり分かれている様に思います。


 人口全体の10パーセント程。一学年100人とすれば、クラスに3人くらいは居ます。(偏差値が高いと割合が増える)


 眉目秀麗、勉強もスポーツもできて、基本的にはそれなりのお家の子です。


 性格はそれぞれでしょうが、性格の悪いαは物語の当て馬の十字架を背負いがちてす。



 βは所謂普通の人々、α、Ω以外の人はβ(普通の人)という事になっています。


 意外といえば意外ですが、α×β、β×Ω他、βが主な作品も結構あります。

 βが補えないフェロモンや発情期の問題を、一生懸命に愛情で埋めていく様なお話が多いのかなと思います。

(きゅん!)



 Ωは妊娠できる、妊娠しやすい人々。数は少なく殆どが女性で、男性のΩは都市伝説的に少ないです。


 人口の3パーセント程で、女性のΩでもクラスに一人居るかどうかという感じです。

 男性のΩは学校に一人居るかどうか。


 エロ漫画、官能小説の主役に抜擢される事が多いです。(察してください)



 パーセンテージは書き手によってかなり異なります。あくまで縦縞の作品だとこのくらい、と思ってください。

(α30%、Ω10%という作品も見た事があります。この数字は作者の世界観が大きく出る所だと思います)



 αとΩはフェロモンを通して惹かれあったり、誘惑したりされたりします。


 あるいはα同士が攻撃的なフェロモンで争い、弱い方が制圧されたりします。


 これは(フェロモンなのに)匂いとして表現されます。

 βにも知覚できますが、効果は劣ります。


 設定は書き手によって大分異なりますが、一つ確かなのは、オメガバースの土台は

「格差社会」

「差別」

 だという事です。

 セクシーな描写がフォーカスされがちですが、本題はここです。


 αは能力が高く、知力、運動能力等に優れた人を多く排出します。社会的地位が高く、αの血筋を死守しようと足掻いている家系が多くあります。

 男女共に妊娠させやすく、女性は妊娠しにくいです。(妊娠しないという設定にしている人も居ると思います)


 必然、子供を作るとなるとβかΩを頼るわけですが、α×βだと、αの子供が産まれる可能性はかなり下がります。

 そして、Ωはαを産む確率が最も高い。

 結果、希少なΩを奪い合う構図が産まれます。

 良いお家に産まれたΩの子は、良くも悪くも引く手数多。


 しかし、一般家庭に産まれたΩは、社会的地位が平均的に低いというバックボーンを持っています。


 Ωは一定期間事に来る発情期を持ち、その期間はαとβを強烈に誘惑する為、外出もままならない。

 必然、カレンダー通りに働くのが難しいという事になり、また雇用の機会も中々得られない、という事になっています。


 何より、発情した時の誘引力は凄まじく、

「Ωなんかにうちの人を寝盗られたらたまらない!」

 という嫌味に晒されたりもします。


 αの血筋はΩを欲する反面、Ωを見下しているというのが複雑な所です。


 生まれた時から人生ハードモード、それがΩです。



 何となくイメージが掴めたでしょうか。

 もっと掘りたいですが、五万文字くらい必要なのでこの辺で止めます。



 オメガバースは本能と性の話です。


 基本的には、αとΩが強烈に惹かれ合い、あるいは本能の誘惑に負けて、関係を結ぶというのが、王道の話の流れです。


 カクヨムは性的な表現にかなり厳しいレーティングを課しています。

 性表現を免れないオメガバースとの相性は非常に悪く、カクヨムであまり見かけないのは、当然と言えば当然の事です。


 しかしながら、オメガバースは差別と本能に抗い、相手の人となりそのものを愛し、葛藤しながら共に生きて行くというヒューマンドラマでもあります。


 ここまで長い文章に付き合ってくださったあなただったら、どんな人々が出会い、どんな風に惹かれ合う物語を紡ぎますか?


 性的な表現を避けても、オメガバースという設定は書き手にとってとても面白いものです。


 増えると良いなあオメガバース。

 今やっている自主企画が終わったら、次はオメガバースの本棚を作ってみたいなと思っています。






 最後は宣伝していいルール。


 あるΩの男の子が家出して、自立して、恋をして、時には深く傷ついて、しかしそれでも必死に生きて、最後は家に帰る。

 そういうお話です。


「ジゴクノカナタ」

 https://kakuyomu.jp/works/16818093073799201687

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