第10話、人間讃歌

無音


ただ、ただ広がっていく暗闇に恒星が瞬く空間が広がっていく。


360°全面カメラが映し出す世界に、ひとり座っている俺の前には、球体で表される「天体図」がある。天体図は薄ぼんやりと発光し、コクピット内を薄く映し出していた。


この天体図には母艦とリンクした戦況が映し出されており、ここから2マイル先が最前線であることが示されている。


画面越しにも「瞬き」が数限りなく発生している。ここが「戦場」だということと、その「美しさ」を実感してしまう。


無音


世界と俺が、宇宙とたったひとりがリンクしている。


『そろそろだが、どうする?』

『その前に、逃げられなくなったところで切り込まないかい』

『過激だな』

『僕ね、ちょっと怒ってるんだよね。この人達、好き放題やりすぎでしょ?』

『あー、まあ「人間」だしな、相手。投降されたら厄介だな』

『ねー。だから、ちょっと、先手がいいかなって思うんだけど、どうかな?』


あ、流れ弾。戦闘機の旋回速度だと、相手のショットが光の速度だから避けようがないんだけど。


『キン!』


起動音だけがコクピットにこだまする。

自動展開されたシールドが熱線を捻じ曲げて、別の方向に変える。

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