第9話、詰将棋
宙域を示す天体図を囲み、話を進めていく。
「さて、もう彼らは宇宙に全て出てきた、と考えていいかな」
「はい。地上については迎賓館や研究施設含めて全て制圧済みです。神鳥とされる知的生命体もいますので、送り込まれたシンジケート員以外はいないでしょう」
「あいつらは随分と政治的にもばら撒いていたので、シンジケートの失墜により政界のパワーバランスなどで荒れる可能性はあります」
「うむ。そのあたりはあとで手伝ってくれ。君の政治や統治能力は非常に高いから頼りにしている」
「まあ、その辺はお任せください」
そうなんだよね。こいつ、政治家になればいいぐらいに隠し事暴くとか得意なんだけど。現場仕事の後始末はこいつに任せるのが一番。
こいつは地域住民に優しい政治をしてくれそうだから、老後はこいつが統治する国や星で過ごしたい。食事にあまり興味がないのが玉に瑕だけど。
「ふむ、探索ブイが増えてきたね。だいぶ警戒されているかな?」
「なかなかいい探索ブイですね。動きが素早い」
「一点突破狙いな動きをする前段階だな。穴を探している」
天体図はリアルタイムを表している。
動きは筒抜けだ。当たり前だが、連邦軍とシンジケートでは装備が違いすぎる。
「このまま海の藻屑にしたいが、まだ中に「実験対象」がいるんだね?」
「ええ。神鳥さんが教えてくれました」
「さらに「人間」案件ですか。周りのブイを減らして囲み、突入せざるを得ない」
「めんどくせーな」
「まあまあ。白兵戦も嫌いじゃないし、危険手当もつくからね」
「今回の事件が解決したら、私の就任祝いも兼ねて「ディッセン」で貸切はどうかな?」
「タダ飯?」
「タダ酒、だよ。もちろん」
「部下たちも?」
「連隊全員は入りきれないから、一品か一杯サービスで勘弁してくれないか?」
「いや、さすがに冗談ですよ。第3連隊は75人もいますので」
「しかし、培養脳クラスでも食事は楽しいだろうに」
「はは。確かに。じゃあ、頑張ったやつらには俺らから手当に一品追加で」
「知的生命体に対する差別は好きじゃないんでね」
「だから先輩は宙域担当者にふさわしいんでしょうね」
「さあな。だが「差別嫌い」なんでね。「人間」だろうと容赦はしないよ」
会話をしながらも、相手の探索ブイは削られている。
あと90分後には航路が開ける計算。
「そろそろ、こちらもでますね」
「ああ、頼んだ」
「アイアイサー」
じゃあ、行きますか。
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