ファン

勝利だギューちゃん

第1話

アイドル。


何も画面の中の、遠い存在ではない。

もっと、身近にもいる。


同じクラスの女の子。

その子が、クラスのアイドルと呼ばれて、男子から夢中になることも多い。


「○○さん、調子はいい?」

「あっ、〇〇くん、どうしたの?」

「実は僕も、他の男子同様に〇〇さんのファンなんだ」

「・・・ファン・・・」


なぜか、ムッとする。

悪意はない。

ただ、純粋に彼女のファンなのだ。


そう、ただ純粋に・・・


「ファンって、私は何もないよ」

謙遜しているのか、無自覚なのか。


「〇〇さんって、美少女な上に、何でもできるのに、それを鼻にかけなくて」

「えっと」

「おまけに明るく前向きだし、優しく誰とでも仲良くなれるし」

「だから」

「すごく冷静でかっこいいなって」


なぜか不機嫌。」


「あっ、耳タコだったね。それに僕に言われても嬉しくないか」

「からかってない?」

「全然。本気でそう思ってる」

「眼科いったほうがいいよ、〇〇くん」

「どうして?」

「私、美少女じゃないし、ファンだなんて言われたの初めてだよ」


意外だな。

絶対に嘘だ。


クラスにいる身近な女の子は、画面の中のアイドルよりも、遠い存在なのかもしれない。


彼女は確かにモテる、

美少女だ。

人気がある。

非公認だが、ファンクラブもある。


そう、ファン。


アイドルはいつまでも、アイドルであってほしい。

ヒーローがいつまでも、ヒーローのように。

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