短編ホラー

睦 ようじ

監禁カレシ

 がちゃり。

 僕の腕に鈍く光る手錠が仕掛けられた。

「今度こそ、今度こそ逃かしはしない」

「キミはしつこいね。粘着質な人物は男女問わず嫌われるよ」

「うるさい!アンタに言い返す事は無いのよ!」

 彼女は、僕に平手打ちを入れる。

 頬に小さな痛みがある。

「……これ、暴行罪で訴えられるよ」

「知らないわよ!そんな時はアナタに頼まれたって泣きおとせばいいのよ!」

 はぁとため息を吐くと僕は首を回しながら辺りを見回した。

 男が二人と彼女が愛用しているPCと、大きなカメラ。

 あいにくとそういう知識は疎いから分からないけど、どこかの裏アカウントに流してお金でも稼ぐ気だろうか?

「そういうのやめないかなぁ」

「うるさい!私の事も何も知らないクセに!」

「あれだけ色んな事話したし、夜も一緒にもいた。自分が消えたいと言った時も止めた。それでも足りないと」

「そうよ!」

 彼女は、デスクを叩いた。

「……ただ愛されたいだけと言えばいいのに、哀れだね」

 彼女が赤面すると、僕の顔を再度叩いて消えていった。


 □◆□


「いっち……に……」

 窓にもご丁寧に、格子窓になっているので昔の映画のように筋トレをする。

「ちょっと!何やってるのよ!!」

「いや、やる事ないからね。キミもやらない?」

「何でよ!?」

「何にお金使っているかは知らないけど、自分に投資した方がいいんだよね」

「……」

 彼女は黙って部屋を出た。どうやら、散歩に行ったようだ。


 □◆□


「お願いがあるのだけど」

「……何?」

 彼女は別の男と話しながら、僕を見る。

「ステーキが食べたいな。テレビでよくある神戸牛」

「そんなもの食べさせるわけないでしょ」

「じゃあ、せめて肉料理食べさせてくれないかな」

「……」

「料理出来ないわけじゃないでしょ」

「出来るわよ!」

 彼女はキッチンに立つと料理を作り始めた。


「……まぁまぁね」

「悪かったわね、初めて作ったからよ」

「でも、その作ろうとした姿勢は評価するよ」

「そう」

「ところで、その男は」

「……どうでもいいでしょ。もう私、外に出るから」

 彼女は汚れた服を持つと外に出た。


 僕は、大きくため息を吐くと掌にあるスイッチを押す。

 彼女と


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 レポート

 ○○誹謗中傷事件対象者の社会復帰プログラムは順調。

 医師監修の元、脚本家に執筆依頼したの元、男性パートナーに見せかけたホログラムによる会話と医師とのカウンセリングと行為療法により自罰的行為は消え、日常生活復帰の意欲が出ている。

 今後、異常な自己顕示欲と恋愛依存症は消えていく可能性あり。

 料理の味に関して違いが大きいため味覚障害などの調査を必要とする。

 また、カウンセリングの担当医師が別の依存症になる可能性も考慮を検討願う。


 担当医:矢羽根 浩二

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「これ、ドMの人間には危ないよね。僕も異様にならないようにそろそろ消えるか」

 掌のスイッチを強く押すと、僕のホログラムも消えた。

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