流星群を君と 〜楓〜

海乃マリー

第1話 晴れのち曇り時々雨

 今回のドライブは強烈だった。神奈川から島根まで車で十時間以上の長旅。中継地の大阪で一泊して、少しだけ観光した後、再び恐怖の長距離ドライブが始まった。


 島根には妻の実家があるのだ。島根まで車で行ったのは初めてだった。もう二度とこの距離を車で行くことはないだろう。


 カーナビがガイドしてくれたので、迷わず目的地に到着できたことだけが救いだ。カーナビ様々だな。しかし、パーキングに何度も立ち寄ったため、見込んでいた走行時間を大幅に超えてしまった。


「真奈美、思ったより時間かかっちゃったけど、体調は大丈夫?」


「私は平気だよ。でも、楓は疲れたでしょう?」


 「うん」と思い切りうなずきたいところだったけど、「全然ヘーキ」と強がっておいた。今、疲れたって言ってしまったら、余計に気力が奪われそうだったから。あと二時間で目的地だ、がんばれ、自分。



 "晴れのち曇り時々雨"

 "人生それの繰り返し"

 "だったら全部楽しめばいい"

 "だったら全部笑い飛ばせ"



 今回の旅で、このCDアルバムを何周聴いたかわからなかった。オレのソロ時代のベストアルバム。もちろん真奈美のリクエストである。


「そろそろ違うCDに変えるね」

操作しようとしたら真奈美に遮られた。


「変えちゃダメ。今日は最後までこれを聴くんだから」

 

 真奈美は少しムキになって、言った。


「そうなの? まぁ……いいけど」


「私達これからイチから出直すわけじゃない。この歌もそんな感じしない?」


 受け取り方は人それぞれ自由だけれど、この歌はイチから出直すと言うよりか……人生楽しいことも辛いこともあるけど、とにかく楽しめよ!みたいな気持ちで書いたような気がする。


 しかし、当たらずとも遠からずといった所だろうか。オレ達がここに来るまでには、楽しいことも辛いこともあった。














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