涼子は「虚無堂」での新たなイベントとして「暗闇の中の詩朗読会」を企画した。このイベントは、参加者たちが完全な暗闇の中で詩の朗読を聴き、言葉の響きと詩の情感を深く味わうことを目的としていた。

イベントの準備として、涼子は虚無堂の小さなホールを使用し、全ての窓を厚いカーテンで覆い、部屋全体を完全な暗闇にした。ホールの前方には小さなステージを設置し、朗読者が詩を読み上げるためのマイクと音響設備を整えた。

参加者たちは一人ずつ静かにホールに案内され、ソフトな座布団が置かれた座席に着いた。涼子は参加者に、目を閉じて詩の言葉に耳を傾けるように促した。そして、詩人たちが一人ずつステージに上がり、自らの作品を暗闇の中で朗読し始めた。

暗闇の中での朗読は、参加者たちに通常の朗読会とは一味違う体験を提供した。視覚情報が遮断されることで、声のトーン、言葉の選び方、リズムに集中することができ、詩の情感がより直接的に心に届いた。

詩人たちが読み上げる詩は多岐にわたり、愛、喪失、希望、自然の美しさなど、様々なテーマが取り上げられた。参加者たちはそれぞれの詩から感じ取る情緒に浸り、言葉が持つ力を新たな感覚で体験した。

朗読会が終了すると、涼子はゆっくりとホールの明かりを点け、参加者たちを現実に戻した。彼女は皆に感想を尋ね、多くの人が「暗闇の中での詩の朗読は、言葉一つ一つに心が動かされる感覚を強く感じさせてくれた」と感想を述べた。また、「詩の真の意味や感情がより深く伝わる素晴らしい体験だった」という声も多く聞かれた。

涼子はこの「暗闇の中の詩朗読会」が参加者に与えた感動と詩への新しい理解に満足し、今後も虚無堂でこのような独特な文化体験を提供し続けることを決意した。このイベントが参加者たちにとって詩との新たな出会いを提供し、彼らの心に深く刻まれる体験となった。