第37話 暗闇の中の宝探し

涼子は「虚無堂」で新たな体験イベント「暗闇の中の宝探し」を企画した。このイベントでは、参加者たちが完全な暗闇の中で、隠された「宝」を見つけ出すことを通じて、協力と洞察力を試す楽しい挑戦を提供することを目的としていた。


イベントの準備として、涼子は虚無堂の大ホールを使用し、部屋全体を暗幕で覆って完全な暗闇を作り出した。宝探しに必要なアイテムは、触感や音、香りで識別できるように特別にデザインされた。各アイテムは部屋の様々な場所に隠され、参加者は提示される謎やヒントを解きながらアイテムを探さなければならなかった。


参加者たちは一人ずつ部屋に入り、涼子の指示に従って出発点に集まった。彼女は参加者に耳を澄ませ、感覚を研ぎ澄ますよう促した。そして、最初のヒントが読み上げられ、暗闇の中での探索が始まった。


参加者たちは暗闇の中で手探りをしながら進み、隠されたアイテムを一つずつ見つけ出した。触れることで形や質感を識別し、音を頼りに位置を確認し、時には特定の香りを追って次の手がかりを見つけ出すといった具体的な方法で挑戦に取り組んだ。


このプロセスは、参加者たちに互いに協力する機会を与え、また互いの強みを活かす場面も多く見られた。例えば、ある参加者が特に優れた聴覚を持っていたため、音からアイテムの位置を推測するのに貢献し、別の参加者は優れた嗅覚を活かして香りのあるアイテムを見つけ出した。


宝探しの終わりに、涼子は部屋の明かりを徐々に点け、参加者たちが実際に集めたアイテムを見る機会を提供した。彼らは自分たちがどのようにしてこれらのアイテムを見つけ出したかを語り合い、暗闇の中での体験がもたらした洞察や楽しさを共有した。


このイベントは、参加者に新たな視点で問題解決を行う楽しさと挑戦を提供し、またチームとして協力する価値を再認識させた。涼子はこの「暗闇の中の宝探し」が参加者に強い印象を残し、虚無堂での次の体験イベントへの期待を高めたことを感じ、さらに創造的なイベントを企画する意欲を新たにした。

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