第3話 内なる声との対話

再び「虚無堂」へ足を運ぶ道中、涼子は前回聞こえた謎の声が心に残っていた。その言葉が何を意味するのか、自問自答を繰り返しながら歩いた。今日は何か新しい発見があるのではないかという期待感に胸が高鳴った。


店の扉を開け、涼子は既に馴染みのある暗闇と静けさに包まれた。席に着くとすぐに、冷たい飲み物が手渡され、肩を一回叩かれた。深呼吸をして、涼子はゆっくりと飲み物を味わった。その瞬間、前回聞こえた声が再び彼女の耳に届いた。


「見つめる勇気を持てば、あなたの中に答えが見つかる。」


今回は、その声に応えようと涼子は決心した。目を閉じ、心の奥深くに問いかけた。「私の求めるものは何ですか?」


静寂の中で、涼子は自分自身の内なる声に耳を傾けた。すると、声が再び語りかけてきた。「あなたの心が求めるもの、それは平和と自己の理解だ。」


この言葉を受けて、涼子は自分の日常生活を思い返し始めた。仕事の忙しさに追われ、人間関係の悩み、未来への不安。これら全てが彼女を縛り付けていた。そして、涼子は自分が真に望むものが、内面の平和であることを実感した。


食事が運ばれ、肩を二回叩かれる。食べ物の味に集中することで、涼子はさらに深く自己と向き合う時間を持った。彼女は、自分自身に誠実でいることの重要性を感じ取り、それが真の自己理解に繋がると確信した。


食後、再び深い眠りに落ちた涼子は、目覚めると「虚無堂」の外のベンチに座っていた。手元には賽銭箱があり、彼女は迷うことなくお金を入れた。その瞬間、涼子の心にはひとつの決意が芽生えた。


立ち上がり、涼子は新たな自分を感じながら帰路についた。今回の訪問で、彼女は自己の内面との対話を深め、本当に求めているものが何であるかを明確に理解することができた。そして、この喫茶店が彼女にとってただの逃避場ではなく、自己成長のための聖地であることを心から感謝した。次にここへ来る時は、また違った自分を発見できるだろうと、涼子は期待に胸を膨らませた。

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