この世のはたてと愛しの君
中川葉子
第1話
君を真の意味で深く愛するためには、世界のはたてに住むしかないとそう考えていた。
実際今もそう考えている。深い愛を限りなく注ぐためには、おそらく、きっと、他者の悪意がない場所が望ましいからだ。
……。世界には逆境を跳ね飛ばしてこそ愛が深まり燃え上がるという論調を持つ人がいることを僕は知っている。だが、そのような障壁など不必要である。逆境で擦り減った精神を修復する愛情すらも、純粋で健康な状態に注ぎ込みたいのだ。
だが、一つ困ったことがある。君も僕も映画や演劇、ミュージカルなどの他者が形成したモノが好きなのだ。
だから今日も喧騒の伴う薄汚れた町で、演劇場へ繰り出すのだ。二人のささやかでどこまでも深い愛を握りしめながら。
この世のはたてと愛しの君 中川葉子 @tyusensiva
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます