五十五言目 柚木原さんと生徒会・その1
県立冬ヶ丘高校生徒会。普通の高校よりは権力があるけどフィクションほどはないくらいの生徒会。お決まりの腕章はあるらしい。まあ色々と噂はあったりするけどそれなりに生徒からは敬意を払われてる感じだったりそうじゃなかったりする。そんな冬ヶ丘生徒会に、私は入学以来初めて足を踏み入れようとしていた。
「そういえば、ウチの学校って生徒会は別棟なんだ?」
「そうなんです。20年くらい前ですかね?「7日戦線」って言って生徒と学園側で余韻で2週間くらい授業が止まるレベルの、彩花ちゃんのおっぱいくらい大きい抗争があったらしくてですね。当時の生徒会……庶務?がなんかとんでもない軍才を持ってたらしく、運動部を指揮して当時在籍してた先生、あと先生達が呼んだOBの半分くらいを病院送りにしたんです」
「クロムウェルみたいだね。実質清教徒革命……あ、生徒革命ってことか」
例えに出された自分の乳を揉みしだかれながらもなんかもう慣れ故の余裕かあまり表情も変えない柚木原さんと、従姉のFカップを堪能するのは当然の権利だと言わんばかりに揉みしだく霜月さん。なんかもうすごいとしか言いようがない。そういえば、生徒会役員については生徒会長が任命することになってると聞いたことがあって霜月さんに聞いてみると、「あ、全然良い子達ですよ?」と笑った。まあこんなのが複数体いても困る気がするし……。
「で、その時の生徒会が結構な急進派だったこともあって割とOB会は学園側だったんですけど、この「7日戦線」、3日目でしたっけ?の「化家制圧」で一気に生徒派と学園派に両断されてですね」
「「化家制圧」?なにそれ?」
「当時の副会長が卓球部とバレー部を、会計が陸上部と空手部を率いてそれぞれ化学実験室と家庭科室を強襲した事件ですね。それぞれ薬品とか食料とかの、まあ大きいおっぱいには大きい乳輪くらい重要なところなので学園側もそれぞれ剣道部顧問とOB、サッカー部・野球部OB連合とかに守らせてたらしいんですが、電光石火の早業で生徒会が奪還したんですよ。それで……」
「……待って、闌。その話結構続く?」
「有志が作ったドキュメンタリー映画はAV3本分くらいだったらしいですよ」
「長くない?」
「じゃあ結論から言いますね。戦利品です。生徒会室」
彼女が言うと同時に見えてきた生徒会室。どんなものかと思いきや、それは学園の奥に佇んだ和風建築で、昔教科書で見た寝殿造にも見える。「これが戦利品?」と霜月さんに尋ねると「当時の先生達と学園派のOBに作らせたらしいです」と教えてくれた。
そしてもう少し近づくと、生徒会の人達が何かを活発に議論する声が聞こえてくる。生徒会長はアレだけど役員はまともなのかな、なんて思っていると、間もなく到着。私は靴を脱いだ。
「……は……るから良いってもんじゃない!もっと……した方が……!」
「分かってないわね先輩!……は……る程良いのよ!」
「……」
「……さんは……については?」
「無為。あるがままで良い」
「しつれいしまーす」
さっきよりも大きく話し声が聞こえる中、霜月さんが扉を開けると中にいる5人の女子生徒の視線が一斉にこちらを向く。そして霜月さんは振り返り、笑いながら言った。
「ようこそ、冬ヶ丘生徒会へ」
「……えっと、ちなみに今は何の話を?」
「何って、「巨乳は出してるのと隠れてるのどっちがスケベか」に決まってるじゃない!」
「部活動管理委員会」と書かれた腕章を嵌めた子が勢い良く答える。「まさか……」と霜月さんの方を見ると、彼女は「ね?良い子たちでしょう?」と微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます