五十三言目 柚木原さんと生徒会長
「彩花ちゃんいますよね?」
見るからにふわふわの髪をおさげにした女の子が、勢い良く扉を開けた。「わ」「うお」とクラスメイトが思わず視線を向ける中、隣で2048をやってた柚木原さんだけは「うぇ……」と提出期限が過ぎた未記入の書類がカバンから出てきたみたいな顔をしている。っていうかあれって……。
「生徒会長、だよね?」
生徒会長、
「あ、やっぱいるじゃないですか。失礼しますね」
そんな彼女が柚木原さんに何の用で、いや柚木原さんの反応的になんか因縁はあるんだろうな、なんて考えていると彼女はズカズカと教室に入ってきてガっと柚木原さんのたわわな胸をホールドし、そして全くためらいなしにもみ始める。
「お、91、いや2ですかね?で、Fですか。もうちょっと伸びそうですし、相変わらず良いの持ってますね彩花ちゃん」
「えっと、どういう関係……?」
「こっちは……89?そろそろEのDってとこですね。でも将来これもの凄いことになりますよ。10年、いえ5年ですね。同窓会でむしゃぶりつきたいです。赤ちゃんの分ついでにボクの分も用意しといてくださいな」
「この神反発といい将来は雌牛ですかね」なんて失礼極まりないこと言いながら私の胸の感覚を楽しんでいる彼女。あまりに突然故に身体は動かないものの、思考は回り、彼女について思い出す。
そう、彼女霜月闌は上記の輝かしい功績に匹敵するほどに学園に名を轟かす乳狂いなのだ。学園の女子生徒と女性教員、あと近所の女子大生やコンビニバイト、要は出会った人間ほとんどのスリーサイズを記憶していると専らの評判である。類まれな洞察力を持って服の上からもスリーサイズをピタリと当て、恐ろしく高いコミュ力でターゲットとの距離を詰め、そしてお目当ての乳を揉み非常に優れた触覚と記憶能力でその感触を完璧に記憶する。その結果彼女は学園中の女子と良好な関係を築きながら合法的におっぱいパラダイスを形成することに成功したのだ。おそらく知らぬ間に彼女の乳を揉まれている男子生徒は数知れず。大罪背負ったNTRメーカーでもある。
そんな彼女に柚木原さんが珍しく、いや私からしたら珍しくもないのだが完璧美少女モードを解除しながら「何の用?」と少し無愛想に尋ねると、生徒会長は「忘れたとは言わせませんよ?」と乳を揉みながらニヤリと笑う。
「取り敢えず場所変えましょうか。ボクもちょっと喉乾きましたし。あーあ、目の前のおっぱいからミルクでも出してくれたら良かったんですけど。あ、咲楽ちゃんの方はかなり出が良いとボクが保証しますよ」
「……取り敢えず咲楽から手離してよ」
「ふふっ、嫉妬ですか?良いですよ。多分咲楽ちゃんも彩花ちゃんに揉まれたほうが反応が良いですし。知ってますか?おっぱいって揉むだけじゃ脂肪が燃焼してちっちゃくなっちゃうんです。好きな人に揉まれると黄体ホルモンが出ておっきくなるんですけどね。あ、そういえば咲楽ちゃんって入学当初はBちょっとくらいであんまり大きくなかったはずなんですが……ふふっ、黄体ホルモン、出ちゃったんですね?」
「良いから」
色々と情報量やら謎シチュエーションやらで固まってる私に代わって柚木原さんは生徒会長の手を退ける。そして「あらら」と少し残念そうにする多分150cmちょっとくらいの生徒会長を柚木原さんは適当な荷物みたいに小脇に挟んで教室の外へ持っていく。私もその後を追いかけた。
「……ええっと、取り敢えず2人はどういう関係なの?柚木原さん」
「……従姉妹。母さんの弟の娘」
「はい。まあここ2年は学校で話すこともありませんでしたからね。知らなくてもしょうがないです」
「2年……長い喧嘩とか?」
「いえ。ボク彩花ちゃんと約束してたんですよ。「2年ちょっかい掛けなかったら生徒会に入っても良い」って」
「柚木原さんが?」
まさかあの柚木原さんが生徒会に?と本人の顔を見ると「やっべ忘れてた……完全に忘れてた……もう2年かぁ……」みたいな顔をして目を逸らしていた。どうやらマジの話っぽい。
「柚木原さん、仕事出来るから?」
「いえ顔とおっぱい枠です」
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