第9話 地獄の日々その1
派遣を始めて、当たり前のように「午後十一時まで残ってくださーい」と言われます。
要項には九時六時と書かれていたはずですが?
父の入院している病院へも行かなければならないし家が惨劇状態なので、派遣会社に「十一時までは無理です」と言いました。
「せめて八時には帰りたいです」
というと、翌日から午後八時までの残業が当たり前になりました。
派遣先の社員が「明(めい)さんは八時まで働いてくれるんだよね?」と圧をかける。
その風潮が社員全員に伝わってる。
いやあ、社会って怖いね。
そして願書は目視です。他の人と三重チェックします。
記入漏れ、多いです。
受験生の皆さんは、合格したかったら記入漏れに気を付けましょう。
あと、出願料。十一時まで残る人は、結局零時近くまで働かせられ、零時近くに電話をし、「出願料のお支払い」の催促をします。
「俺、零時近くに電話して、振り込め詐欺やってる気分」と、言っている人がいました。
あと、単純作業に見えて何千、何万もの願書を見るのでとにかく忙しい。
目が。目が疲れる。
チーフみたいな人が何日かバックレたほどです。
帰っても風呂に入れない、解体されていく一階……。
二階の洗面台でシャンプーと洗顔だけはしてました。
今はなき愛犬が純粋に尻尾を振って迎えてくれることだけが癒しでした。
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