パプリカ
——ここは夢? ここは現実?
こんにちは。
今日も作品のレビューをしていきたいと思います。
今回は「パプリカ」です。今敏監督の遺作となってしまった作品です。
あらすじです。
サイコセラピストである千葉はDCミニという他人の夢に入り込むことができる特殊な機械を使用し、「パプリカ」という夢の中での人格を作り、他人の夢の中に潜り込んで精神治療を行っていた。
そんなある日、そのDCミニが何者かによって盗まれた。その機械は実験段階で、世間にも公表していないもので、もし盗み出した何者かが悪用をすれば他人の夢に入り込み、人格を崩壊させることが可能なほど危険なものであった。
盗んだ犯人を捜査していくのだがその矢先に次々とそのDCミニによる事件が多発していく。
というのが大まかなあらすじです。
DCミニという他人の夢の中に入れる夢のような機械を盗んで世間を混乱に陥れようとするものはいったい誰なのか、というミステリーものになっています。
ただ、そうしたミステリー要素も面白いのですが、今作は、まるで夢の中にいるような演出、アニメーションを楽しむのがいいところだと思います。
まるで夢を見ているみたい。でも、ここは現実。どこが現実でどこが夢なの? 他人によって現実を夢によって汚染されていく恐ろしさ、楽しく明るいパレードを行う夢の中に潜む不安と恐怖、不気味さが爽快に描かれています。
DCミニに侵食された人の言葉もまるで夢うつつのように的を射ないめちゃくちゃな言語を並べ立てますが、その意味不明なセリフも癖になって面白いです。「総天然色の青春グラフィや1億総プチブチルを私が許さないことぐらい、オセアニアじゃあ常識なんだよ」とか「揮発性の高い田舎娘」とか「その方、カップ麺の露と消えただろう」とかよくこんなセリフを作れるなと感心します。
物語は一難去ってまた一難と次々と飽きさせない展開が続いていきます。
そして、終盤夢の中での対決が終わったと思ったら、本当に現実世界に夢が侵食していきます。そこで行われるパレードはまるで夢のようなのですが、当時の日本の時事問題がたっぷりつまった皮肉なパレードとなっています。作中のキャラが「これは夢なのか?」とつぶやきますが、夢だと目をそらしたくなる現実。そうした痛快さや恐怖が見事に入り混じった素敵な演出に心を奪われます。
今敏監督の集大成といっても過言ではない今作は、ぜひ観てほしい1作になります。
最後で刑事さんが映画を見に行くのですが、そこに今敏監督の制作した作品がずらっと並んで、最後に「夢見る子供たち」というタイトルのチケットを買うのですが、今敏監督は次回作として「夢見る機械」というのを制作していてその途中で亡くなられてしまいました。もし、次回作があったらどんなものだったのでしょうか。最後に彼だけが監督の作品を観に行けてうらやましいなと思いました。意図せずではないでしょうがエモいなと思います。
以上で今回は終わりにしたいと思います。
もし少しでも気になりましたら、観てみてください。
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