月夜の唄

海星

安定

第1話 帰還

――――――PM10:00 自宅マンション ベランダ


「なにしてんの?」

信愛みあ見てた。」


ベランダのイスで空を見てると隣の椅子に信愛みあが来た。

落ち着いた澄んだ声。耳触りがたまらなくいい。


「あたしここだけど。」

「あれ。綺麗でしょ?」


信愛は僕の指さす方向を見る。


「あぁ、月ね。」

「俺、三日月と赤い月が好き。」

「それ昔から言ってるね。」

「誰に言ったか忘れた。」

「何人いた?」

「……。」


信愛にそう聞かれ静かに指を折り始めると、


「指足りる?」と聞いてくる。

「大丈夫。3本あればいい。」と答えると、

「逮捕します。」


と僕の体をくすぐってきた。


「やめろ!くすぐったい!」

僕が笑うと、


「この、この!」と責めてくる。



外では冷静沈着で腹の座った綺麗なお姉さん。でも僕と2人だとこうやって遊んでくれる。


僕が小さい時から一緒に居てくれる5個上の人。


天の川を渡ってぐるっと地球一周して、また僕はこの信愛ほしに戻ってきた。


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