第10話 甥と姪

いもうとは剛を煮やしたのだ。


「私、働きに行くから!」と宣言して

スポーツ洋品店にパートに出た。


何だかそこでの仕事が楽しくなったんだろう。

まだ、甥は小学一年、姪は保育園だったが

夜遅くまで帰らなくなった。


甥と姪はどうしてたか。

甥は保育園に姪を迎えに行き、そのあと義弟のお母さん、つまりおばあちゃんの所へ行っていた。

晩御飯を食べ、お風呂に入った頃に

おばあちゃんがふたりをマンションに送っていく。


土日も仕事を入れてた。

ふたりは、私の実家の方は電話をしたらしい。

実家の義母と父はふたりを迎えに行き

実家に連れて帰り面倒を見ていた。

ただし、これは秘密だったようだ。

甥がお母さんにわかったら怒られると言ったから。

そんな状況が続いていたらしい。

これに根を上げたのは義弟のお母さんだった。

「もう、お願いだからおばあちゃんちに来ないで家に帰りなさい。」


甥と姪はそれをいもうとに伝えたらしい。

激怒したいもうとは、義弟のお母さんに

この世のあらゆる言葉を使って悪態をついた。


「二度とおばあちゃんの所に行くんじゃないわよ。お母さんが仕事から帰ってくるまで

待ってなさい。」

待ってなさいとは言うものの、鍵っ子にしたくないからマンションのエントランスで二人で待たせるようにしてるんだといもうとから聞いた時、私はこの冬の時期に幼い二人は

どうしているんだろうと思った。

振り返ると我が家の子供達はテレビを見てゲラゲラ笑ってた。


いもうとにそれは虐待だよ、第一、可哀想じゃない?

鍵っ子なら家の子供達もそうだよ。

別にいいじゃない。


私はね、あの子達の友達とかの溜まり場になるのが嫌なの。

汚されるし。


そう言い放すと怒って電話は切られた。


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