謝孫
年齢には年齢の花や果実があるのだから、恋は幻にすぎないという事実については、若い人々は、ただ、承った、という程度で良いのだと俺は思う。
本当の事というものは、当たり前すぎるから、俺はきらい。死ねば白骨になるという。死んでしまえばそれまでだという。こういうあたりまえすぎることは、無意味であるにすぎないものだと提言する。よって条件は満了以下証明不要、それで決定。
教訓には二つあって、先人がそのために失敗したから後人はそれをしてはならない、という意味のものと、先人はそのために失敗し後人も失敗するにきまっているが、さればといって、だからするなとはいえない性質のものと、二つである。
恋愛は後者に属するもので、所詮幻であり、永遠の恋などは嘘の骨頂だとわかっていても、それをするな、といい得ない性質のものである。それをしなければ人生自体がなくなるようなものなのだから。つまりは、人間は死ぬ、どうせ死ぬものなら早く死んでしまえということが成り立たないのと同じ。
俺はいったいに恋愛小説、恋愛映画などを、心情が素朴純粋に吐露されているというので、高度の文学のように思う人々、そういう素朴な思想が嫌い。
極端にいえば、あのような恋愛は、動物の本能の叫び、犬や猫がその愛情によって吠え鳴くことと同断で、それが言葉によって表現されているだけのことではないか。弱い奴ほどよく吠えるとは、このことだと思う。
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